SIXPADの
効果検証

EMSの正しい理論・効果を、
世の中へ広く正しく伝えていくための取り組み

SIXPADの生体効果検証

中京大学 国際教養学部 渡邊 航平 准教授とともに、SIXPAD トレーニング(筋電気刺激)で筋収縮が行われ、生理学的に筋疲労が起こり得るのかを検証いたしました。

学会発表

2015年7月5日「第16回日本電気生理運動学会(JSEK)」にて、MTGは、京都大学 森谷敏夫名誉教授、中京大学 国際教養学部 渡邊航平准教授とともに、電気刺激装置による筋疲労特性の検証の成果について学会発表を行いました。

第 16 回日本電気生理運動学会(JSEK)大会抄録集

ウェアラブル小型電気刺激装置によって誘発される
筋疲労特性の検証Neuromuscular fatigue induced by
wearable small size electrical stimulation device

川出 周平1,渡邊 航平2,森谷 敏夫3
1株式会社MTG,2中京大学 国際教養学部, 3京都大学大学院 人間・環境研究科

Shuhei Kawade1,Kohei Watanabe2, Toshio Moritani3
1MTG Co.,Ltd.,2School of International Liberal Studies ,Chukyo University,
3Human and Environmental Studies ,Kyoto University

1,はじめに

筋電気刺激(Electrical Muscle Stimulation)は,介護やリハビリテーションの分野等で自発的に運動が遂行できない人々の代替的な運動手段として,古くから臨床応用されている。
近年では一般健常者の間でも,運動不足の改善や健康の維持・向上の為,筋電気刺激が広く利用されるようになってきた。今後は,日常生活活動中での使用や随意運動との併用なども期待される。また,一般的なレジスタンス運動やジャンプトレーニング中にEMSを付加することで,大きなトレーニング効果(最大筋力の増大)を得られることが報告されている[1]。さらに,有酸素運動中にEMSを付加することによって,EMSに特異的な代謝応答を誘発するといった新たな運動形態も発案されている[2]。
しかしながら,市販されているEMSの多くは本体・操作部・電極が独立していることや電源供給の必要性から,EMS装置と運動者を多くのケーブルがつなぐこととなる。本体や操作部が大きい場合は,日常生活活動中や各種運動中の利用は困難であり,本体・操作部・電極が一体化され,“小型化”されたEMS装置の開発が期待される。
また,電源供給を電池等で賄い“ウェアラブル化”することは,運動者の拘束をなくすことができることから重要であるが,刺激強度の低下に伴って誘発される筋出力の低下が懸念される。

2,目的

小型化かつウェアラブル化されたEMS装置によって誘発される筋収縮にともなう筋疲労の特性を評価する事を目的とした。

3,方法

本研究は中京大学「人を対象とする研究に関する倫理審査」の承認を得ている(申請番号2014-001)。また,被験者には事前に測定内容を説明し,書面でのインフォームドコンセントを得て実験を実施した。
被験者は男性12 名(年齢:21.4±1.0 歳,身長:173.0±7.0 cm,体重:62.0±5.8 kg,BMI:20.7±1.5)であった。
対象部位は上腕二頭筋とし,電気刺激および随意運動による筋疲労を評価するため以下の手順で測定を行った。

①最大筋力(MVC-PRE)の測定
被験者の右腕を等尺性肘関節屈曲筋力測定装置(VINE 社製)に肘関節角度120度(内角)で固定した状態で行った。
②表面筋電図中央周波数(MF-PRE)の測定
筋電計(EM-272,Noraxon 社製)を用い,最大下筋力(MVCの50%を3 秒間維持する課題)発揮中の上腕二頭筋近位部の表面筋電図を双極誘導で記録した(AB-611J,日本光電社製)。
③運動負荷
「電気刺激試行」
上腕二頭筋近位部に骨格筋電気刺激装置(MTG社製)を貼付し,伸縮性バンドで固定した上で約20分間の電気刺激を行った。刺激強度は被験者の耐えうる最大刺激強度としたが装置の最大刺激強度(40V)を上限とした。刺激頻度は20Hzとし,3秒間の収縮を2秒間の弛緩を挟んで連続的に行った。
「随意運動試行」
電気刺激で誘発されたものと同様レベルの随意運動として,最大筋力の約12%の筋力を発揮する随意運動(等尺性肘関節屈曲運動)を3秒間の収縮に2秒間の弛緩を挟んで約20分間行った。
④筋肉への負荷付与後の最大筋力(MVC-POST)の測定
「①」と同様の方法で行った。
⑤筋肉への負荷付与後の表面筋電図中央周波数(MF-POST)の測定
「②」と同様の方法で行った。
以上の結果を元に,筋肉への負荷付与前後の最大筋力の変化率(MVC-POST/MVC-PRE)および筋電図中央周波数の変化率(MF-POST/MF-PRE)を算出した。
4,結果

最大筋力の変化率(MVC-POST/MVC-PRE)は電気刺激試行で71.9±5.0%,随意運動試行で93.2±4.2%であり,電気刺激試行の方が有意に最大筋力が低下していた(p < 0.05)。
最大下筋力発揮中の筋電図中央周波数の変化率(MF-POST/MF-PRE)は87.0±15.7%,随意運動試行で105.5±9.2%であり,電気刺激試行の方が有意に低下していた(p < 0.05)。

5,考察

最大筋力の低下は筋疲労の指標であることから,同等の筋出力であったにも関わらず,電気刺激では随意運動より疲労が亢進していたことを示唆する結果が得られた。
筋電図中央周波数の低下も,特に末梢(筋自体)における疲労を反映することが知られている。本研究では随意運動では中央周波数の低下は観察されなかった。このことは与えられた20分間の随意運動が,ほとんど末梢の疲労を誘発しない可能性を示すものである。
一方,そのような低強度の運動であるにも関わらず電気刺激では中央周波数の低下が観察された。このことは最大筋力の低下から示唆された随意運動に比較して電気刺激がより疲労を亢進させる可能性を電気生理学的な見解からサポートするものである。
最大筋力の10%程度の随意運動では,疲労はほとんど生じないことが結果からも確認できる。そのような非常に低強度な筋出力であるにもかかわらず電気刺激では疲労の亢進を反映する結果が得られた。このことは,随意運動と電気刺激では動員される運動単位もしくは筋線維が同一でないことに起因すると考えられる。
随意運動ではサイズの原理に従って,運動強度に依存して張力の低い疲労しにくい筋線維(いわゆる遅筋線維)から順に動員される。一方で,基本的には高い張力を持つ疲労しやすい筋線維(いわゆる速筋線維)は高強度の運動時にしか動員されない。骨格筋やそれを支配する運動神経もしくはその両方への電気刺激は,このサイズの原理に従わないランダムな運動単位の動員を生じさせることが知られている[3] [4]。
つまり,低強度の随意運動では動員されることのない速筋線維が電気刺激中には低強度の筋出力であっても動員されることとなる。このことが本研究で観察されたような,随意運動では疲労を生じさせない低強度の運動であっても電気刺激では疲労が亢進した原因であると考えられる。
以上の結果から,本研究で用いたウェアラブル小型EMS装置によってEMSに特異的な筋疲労を誘発できることが示唆された。

参考文献
  1. [1] Herrero et al. Journal of Strength and Conditioning Research volume24:1609-1615, 2010
  2. [2] Watanabe et al. Eur J Appl Physiol 114:1801-1807,2014
  3. [3] Gregory CM, Bickel CS. Phys Ther 85:358-364,2005
  4. [4] Maffiuletti et al. Eur J Appl Physiol 111:2391-2397,2011

Training Suitの
効果検証

筋肉の活動レベルの増加を実証。

検証項目

Tights着用時と未着用時で同様の動作(膝関節を180度から90度に屈曲する課題)を行い、大腿二頭筋の活動電位を比較。

その結果、着用時は筋電図振幅値が約30%*増加し、未着用時に比べてより多くの神経筋活動が生じていることを確認できました。
このことは、同じ運動であっても、ハムストリングがより強い運動を遂行しようとしていることを反映していると解釈できます。

*被験者10名(31歳~50歳男性)の未着用時、Tights着用時の筋電図振幅値の平均値の比較(第三者機関調べ)

大腿二頭筋表面筋電図波形の一例
Tights着用時と未着用時の、大腿二頭筋表面筋電図波形

実験データ解釈の協力:渡邊航平 中京大学 国際教養学部 准教授

渡邊 航平 准教授

中京大学 国際教養学部渡邊 航平 准教授

  • 2010年名古屋大学大学院 教育発達科学研究科博士後期課程修了
  • 2010年京都大学大学院 人間・環境学研究科 特別研究員
  • 2012年中京大学 国際教養学部 准教授

日本体育学会、日本体力医学会、日本バイオメカニクス学会、日本運動生理学会、日本電気生理運動学会、アメリカスポーツ医学会(ACSM)、国際電気生理運動学会 所属。
専門分野は運動生理学・バイオメカニクスであり、運動をしている時の身体諸機能の変化や適応について「骨格筋とそれを支配する運動神経」に焦点を当ててヒトを対象とした研究を行う。