反り腰のストレッチ
反り腰改善のためのストレッチ
セルフチェック方法や原因も併せて解説
反り腰の原因には、筋力や筋肉の柔軟性の低下、反り腰の姿勢が常態化することなどさまざまなものが挙げられます。
本記事では、反り腰改善のために自宅で手軽に取り組むことができる、背中・お尻・太ももにアプローチするストレッチを3つご紹介します。
反り腰のセルフチェック方法も紹介していますので、反り腰が気になっている方はぜひ最後までご覧ください。
1 反り腰とは?
「反り腰」とは、骨盤が前に傾きすぎて腰が反っている姿勢のことを指します。
身体を支えている背骨は、横からみると緩やかなS字カーブを描いています。
この曲線は生理的弯曲と呼ばれ、重たい頭を支えながら二足歩行をする人間のバランスを取るために必要な弯曲です。
反り腰とは、骨盤が前傾しすぎて背骨の腰の部分が過剰に反ることでS字カーブのバランスが悪くなった状態の姿勢を指します。
反り腰による不調
反り腰による不調は、頭痛や肩こり、腰痛など、全身に及ぶ可能性があります。
骨盤が前傾することにより腰が反ると背骨全体のバランスに影響を与え、体重の8~10%の重さがある頭を支える頸椎(首の骨)にも影響が及びます。
その結果、頭から首にかかる負担が増大して周りの筋肉や関節にも負担がかかることで、頭痛や肩こりといった不調が現れるリスクが高くなり
ます。
また、反り腰によって腰椎が過度に反ると、椎間関節(背骨同士をつなぐ関節)や椎間板(背骨同士の間にあるクッション組織)に負担がかかり、腰痛のリスクも高まります。
さらに骨盤が前傾することに伴って骨盤につながっている腸腰筋や大腿直筋などの筋肉が過緊張状態となり、股関節の痛みにつながることも珍しくありません。
また反り腰が原因で生じる不調のひとつとして、脚のむくみも挙げられます。
骨盤が前傾することによって背骨のバランスが崩れると血流やリンパの流れが悪くなり、脚のむくみとして現れるケースもあります。
反り腰になる原因
反り腰になる原因には、筋肉の衰え、柔軟性の低下、妊娠や体重増加、ヒール靴を履くこと等が挙げられます。
以下で詳しく説明していきます。
反り腰の原因としてまず挙げられるのは、筋肉の衰えです。
特に腰の前面にある腹直筋が衰えると正しい姿勢を保持することが難しくなり、骨盤が前傾して反り腰を引き起こす可能性があります。
また、腹横筋や多裂筋など姿勢を身体の深層から支えるインナーマッスルの衰えも、反り腰を起こす原因として挙げられ
ます。
股関節を支える腸腰筋や大腿四頭筋といった筋肉の柔軟性が低下することも、反り腰の原因となります。
腸腰筋や大腿四頭筋など股関節の前面を支える筋肉が硬くなると、骨盤を前に引っ張る力が強くなって前傾し、反り腰になる可能性があります。
反り腰につながる姿勢が常態化することも、反り腰を導く大きな原因のひとつです。
例えば、浅く腰を反らすような姿勢で椅子に座るのが癖になっていると、骨盤が前に傾き反り腰につながります。
また、妊娠中お腹が大きくなることによって腰が反った状態が長期間続くと、反り腰になりやすくなります。
ヒールの靴を日常的に履くことも、反り腰の原因となり得ます。
かかとが高い靴を履くとつま先立ちのようになって重心が前方に移動し、身体が前に傾きます。
このとき、身体がバランスを取るために腰を後ろに反らしてしまうことで反り腰を助長する可能性があります。
2 反り腰のセルフチェック方法
この章では、反り腰のセルフチェック方法を3つ紹介します。
ストレッチを実践する前に、まずはご自身が反り腰に該当しているかチェックして、現状を把握しましょう。
ただし、セルフチェックはあくまでも目安として活用し、ご自身の状態によっては整形外科等医療機関の受診を検討しまし
ょう。
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1.
床に仰向けで寝ます。
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2.
床と腰の間に隙間があるか確認します。
※床と腰の間に握りこぶしひとつ分が入る隙間がある場合、反り腰の可能性があり
ます。
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1.
背中を壁に向けて寄りかかり、後頭部・背中・お尻・かかとの4点を壁につけて立ち
ます。 -
2.
腰と壁の間に隙間があるか確認します。
※壁と腰の間に握りこぶしひとつ分が入る隙間がある場合、反り腰の可能性があり
ます。
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1.
床に仰向けで寝ます。
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2.
ひざを伸ばした状態で腰に違和感や痛みがないか確認します。
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3.
腰に違和感や痛みがある場合は、両ひざを立てた状態で違和感や痛みが消失するか確認します。
※両ひざを立てると違和感や痛みが楽になる場合は、反り腰の可能性があります。
3 反り腰改善のためのストレッチ
この章では、反り腰改善のためにおすすめのストレッチを3つご紹介していきます。
それぞれで伸ばせる部位が異なるため、余裕があれば3つすべて実践できるといいでしょう。
撮影協力:SIXPADオフィシャルトレーナー KENTA
■ 寝ながらできるお尻のストレッチ
寝ながらできるお尻のストレッチは、中臀筋・小臀筋・大臀筋を中心にお尻周りの筋肉を全体的に伸ばすことができるストレッチです。
お尻の筋肉をじっくり伸ばすことで骨盤の前傾を抑えるのに役立ち、反り腰対策になります。
お尻周りの硬さ、だるさを感じる人にもおすすめのストレッチです。
柔軟性や腰痛などで実践が難しい人は、両ひざを抱え込むストレッチで代用しましょう。
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1.
床に仰向けになり、両ひざを立てる。
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2.
ひざを曲げたまま片方の足を浮かせ、反対側のひざの上に浮かせた足の足首を乗
せる。
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3.
2の状態を20~30秒間キープし、足を入れ替えて同様に行う。
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4.
1~3の動きを2~3セット行う。
■ 背中の緊張を緩めるストレッチ
背中の緊張を緩めるストレッチであるキャット&カウは、背中や腰を丸めたり反らしたりする動きで、腰椎や胸椎の可動性を高め、脊柱起立筋や多裂筋の緊張を緩めるストレッチです。
長時間のデスクワークで腰が反り気味の人や、骨盤前傾が強く腰痛を感じやすい人に特におすすめです。
ストレッチ中は、腰だけを反らすのではなく、胸椎を意識するようにしましょう。
呼吸と合わせてゆっくり行えば初心者でも効果を実感しやすいでしょう。
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1.
四つん這いの姿勢になる。
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2.
背中を反らすようにゆっくりと腰を落とし、10秒キープする。
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3.
背中を丸め10秒キープする。
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4.
2~3を5セット繰り返す。
■ 腸腰筋ストレッチ
反り腰を予防・改善するためには、反り腰を引き起こす原因として先の章でも触れた大腿四頭筋(太ももの前面にある筋肉)や腸腰筋(骨盤の前面から腰椎にかけてある)の柔軟性を向上させることも大切です。
長時間同じ姿勢で作業をすることが多いデスクワークの方はもちろん、歩く機会の多い営業職や肉体労働の方も腸腰筋や太ももの筋肉が硬くなりやすいため、意識的にストレッチしましょう。
前に出した脚ではなく、後ろに引いた脚の前面の伸びを感じられるように実践するのがポイントです。
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1.
ひざで立ち、脚は腰幅程度に開く。
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2.
片方の脚をひざが90°になるように前方へ踏み出す。
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3.
前へ出した脚のももの上に両手を置き、重心を前へ移動する。
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4.
前もも・股関節の付け根・下腹部の伸びを感じたら、呼吸を繰り返しながら10秒キープする。
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5.
ゆっくり2の姿勢へ戻り、脚を入れ替えて2~4を繰り返す。
4 反り腰改善のために意識したいこと
反り腰の改善のためには、ストレッチに加えて、普段の姿勢に注意することや腰周りの筋肉を鍛えることも重要です。
ストレッチと同じくらい意識して反り腰の改善に取り組みましょう。
日常の姿勢に注意する
反り腰の改善のためには、日常の姿勢から意識して反り腰につながらないように注意することが大切です。
例えば椅子に座るときは深く腰かけ、軽く背筋を伸ばして座るよう意識しましょう。
足を組むと身体のバランスを崩しやすいため、足を組んで座るのが癖になっている場合、座っているときの姿勢は特に意識したいポイントです。
また、正しい姿勢でも長時間同じ姿勢でいると筋肉に負担をかけてしまうため、1時間に1回は姿勢を変えたり、軽く身体を動かしたりするといいでしょう。
腰周りの筋トレをする
反り腰を改善するためには、ストレッチだけでなく腰周りの筋トレも必要です。
特に、反り腰と関係の深い腹直筋・腹横筋・多裂筋・脊柱起立筋などの筋肉のトレーニングは習慣的に実践できるといいでしょう。
5 まとめ
反り腰とは骨盤が過度に前傾して腰が反ってしまう状態の姿勢を指し、原因には腰周りの筋力や柔軟性の低下、腰が反った姿勢が常態化することなどが挙げられます。
反り腰は頭痛や肩こり、腰痛、脚のむくみといった不調につながる可能性があるため、ストレッチのほか、筋トレや姿勢の改善にも取り組みまし
ょう。
本記事で紹介した背中・お尻・太ももにアプローチするストレッチは、どれも自宅で手軽に取り組むことができます。
ぜひ本記事で紹介したストレッチを生活に取り入れ、反り腰の改善に取り組みましょう。