更年期に太る原因

更年期に太る原因とは?
中年女性が体重増加しやすい理由と対策を紹介
更年期に太る主な原因には、筋肉量減少に伴う「基礎代謝の低下」と
女性ホルモンである「エストロゲンの分泌量減少」が挙げられます。
本記事では、更年期に太りやすくなる原因を解説し、更年期太りの対策として
基礎代謝の向上に効果的な運動やエストロゲンを補う食事の紹介をしていきます。
簡単に取り組むことができ、普段の生活のなかで始めやすい内容を紹介していますのでぜひ最後までご覧ください。
1 40代以降の更年期に太る原因とは?
更年期に太る主な原因としては、基礎代謝の低下や女性ホルモンであるエストロゲンの減少が挙げられます。
またこれらに加え、運動量の減少や生活習慣の変化が重なることも、更年期太りにつながると言えます。
この章では、更年期太りの原因としてよく挙げられる基礎代謝の低下や、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の減少について解説していきます。

加齢による筋肉量減少に伴う基礎代謝の低下
更年期に太りやすくなる原因のひとつに、加齢による筋肉量減少に伴う基礎代謝の低下が挙げられます。
基礎代謝とは、安静時の呼吸、体温維持、心臓の拍動など生命維持のために必要な最低限のエネルギー消費のことで、基礎代謝量全体の約20%を筋肉が占めています。
一般的に筋肉量は加齢により少しずつ減少していき、30歳頃からは1年に約1%ずつ減少していくとも言われています。
運動習慣がない場合は、この減少スピードがさらに早くなることもあります。
筋肉量が減少することにより基礎代謝が低下すると消費カロリーが少なくなるため、以前と同じ量を食べていても太りやすくなってしまうのです。
女性ホルモン分泌量の減少
女性ホルモンの分泌量減少も、40代以降の更年期に太りやすくなる原因のひとつです。
複数ある女性ホルモンのなかでも特に、「エストロゲン」の分泌量の減少が更年期の太りやすさに大きく関わっています。
エストロゲンは女性らしい身体つきを維持するだけでなく、内臓脂肪の蓄積や食欲を抑える役割、血糖値を安定させる役割など、脂肪を体内に蓄積させないように働いてくれるホルモンのひとつです。
エストロゲンは、閉経前後の更年期になると分泌量が急激に低下するため、これまでエストロゲンによって抑えられていた内臓脂肪が蓄積しやすくなり、特にお腹周りには脂肪がつきやすくなり
ます。
また、エストロゲンが減少することで食欲が増し、満腹感も感じにくくなります。
更年期を迎えて、太りやすくなったり食べる量が増えたりする場合、その原因には女性ホルモンであるエストロゲンが関わっている可能性が大きいでしょう。
2 更年期太りを防ぐための対策
中年になると太りやすくなるのは事実ですが、更年期太りを防ぐ対策はあります。
更年期太りを防ぐ方法としては、有酸素運動で脂肪を燃焼させるほか、筋トレで基礎代謝を上げて消費カロリーを増やす、食事でエストロゲンを補うなどさまざまなものがあります。
対策をとれば十分に体形維持もできるうえに、ダイエットにもつながります。
この章では更年期太りを防ぐための対策を説明していきますので、取り入れやすいものから実践してみましょう。

運動をして基礎代謝量を増やす
運動は、更年期太りを防ぐためには必要不可欠な対策です。
お腹周りについた脂肪を落とすには、特に「有酸素運動」が効果的です。
有酸素運動は、ウォーキング・水泳・サイクリングなどの酸素を取り込みながら行う全身運動のことで、更年期に蓄積しやすい内臓脂肪の燃焼に効果的です。
週あたり10メッツ・時以上の運動で内臓脂肪の減少が確認されたとする研究結果もあり(1)、脂肪を効率よく燃焼させるために、ウォーキングの場合は毎日30分以上継続して行うのがおすすめです。
また、太りにくい身体にするためには基礎代謝を上げて消費エネルギーを増やすことも大切です。
基礎代謝を上げるためには、筋トレで筋肉量を増やすことが有効です。
筋肉量の多い部位を鍛えることで基礎代謝を効率的に上げることができるため、大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋といった下半身の大きな筋肉を同時に鍛えられるスクワットなどを実践するといいでしょう。
スクワットは特別な器具は不要で手軽に実践できるため、ぜひ取り組んでみましょう。
撮影協力:SIXPADオフィシャルトレーナー ENA
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1.
足を肩幅くらいに開いて立ち、両手は床に平行になるように前方に伸ばすか胸の前でクロスする。
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2.
腰を軽く後ろに引きながら身体をゆっくりと下げ、太ももが床と平行になる地点で一時停止する。
※上半身は真っ直ぐ保ち、ひざはつま先より前に出ないようにしましょう。 -
3.
足裏で床を押しながらゆっくり立ち上がる。
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4.
1~3を10回×3セット行う。
また、有酸素運動や筋トレと合わせてストレッチも実践するといいでしょう。
ストレッチには、凝り固まった筋肉をほぐして血流を良くする効果があります。
血行が促進されることで、基礎代謝に関わる体温が上昇する、可動域が広がるなどの効果があり、トレーニング効果の向上が見込めます。
(1)参考:K Ohkawaraほか(2007)「A dose-response relation between aerobic exercise and visceral fat reduction: systematic review of clinical trials.」『International Journal of Obesity』第31巻12号
基礎代謝の向上のために、筋肉を構成するたんぱく質を摂取する
基礎代謝向上のため、筋肉をつくるたんぱく質を摂取することも更年期太り対策に重要です。
筋肉は、代謝の過程で古い筋肉の分解と新しい筋肉の合成が繰り返されています。
このとき筋肉の材料となるたんぱく質が不足していると、筋肉の分解に合成が追い付かず筋肉量が減少してしまいます。
筋肉量の減少は基礎代謝の低下につながるため、筋肉を構成するたんぱく質を意識的に摂取しましょう。
1日のたんぱく質の推奨摂取量は体重1kgあたり1.2~1.8gが目安となり、1食あたりおよそ20~25g程度を摂るといいでしょう。
たんぱく質の摂取と併せて筋トレを適度に組み合わせることで、より効果的に基礎代謝の向上を目指すことができます。
大豆食品からエストロゲンを補う
更年期太りを防ぐには、大豆食品を摂取することで女性ホルモン「エストロゲン」を補うことも大切です。
大豆に含まれる「大豆イソフラボン」は、エストロゲンに似た作用を持つ植物性エストロゲンに分類され、ホルモンバランスを整える働きが報告されています(2)。
厚生労働省によると、日本人女性のイソフラボンアグリコンの平均摂取量は1日あたり16~22mg(2)とされています。
更年期世代は特に、納豆や豆腐、豆乳などの大豆食品を意識的に取り入れることでエストロゲンを補えるようにしまし
ょう。
【エストロゲンを含む食材の例】
納豆1パック(約45g):約30mg
豆腐1丁(約350g):約70mg
3 中年女性の体重増加はいつまで続く?
中年女性の体重増加は、閉経から数年程で落ち着く傾向があると言われています。
一般的に、女性は40代後半から50代半ばにかけて閉経を迎え、閉経期の前後5年間はエストロゲンの分泌量減少等でホルモンバランスが安定せず、体重の増加が顕著になる傾向があります。
閉経後にホルモンバランスが整ってくると、急激な体重増加も緩和され安定した状態になるでしょう。
更年期の体重増加には個人差があるため、気になる場合は医療機関に相談することをおすすめします。
4 まとめ
本記事では、中年女性が更年期に体重増加しやすい理由として「筋肉量減少に伴う基礎代謝の低下」と女性ホルモンである「エストロゲンの分泌量減少」について解説しました。
更年期太りを予防するには、脂肪燃焼のために有酸素運動をすること、基礎代謝向上のために筋トレをすることが効果的です。
また、エストロゲンの減少を補うためには大豆食品を意識的に摂取するなど、食事面での工夫も大切です。
更年期には、体重増加に加えて、肩こりや頭痛などさまざまな身体の不調を訴える人も多いですが、適度な運動、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、規則正しい生活リズムなど普段の生活を意識することで次第に成果があらわれてくるでしょう。
できるところから対策を始めてみましょう。