代謝を上げる方法

基礎代謝とは?
効率的に代謝を上げる方法を紹介
基礎代謝とは、生命維持のために必要となる最低限のエネルギー消費のことを指します。
本記事では、基礎代謝について説明したのちに基礎代謝を上げるメリット、効率的な基礎代謝の上げ方について解説していきます。
基礎代謝を上げるためにおすすめの筋トレについても紹介していますので、代謝が下がったと感じている方はぜひ最後までご覧ください。
1 基礎代謝とは?分かりやすく解説
基礎代謝とは、普段何もしていないときのエネルギー消費のことで、安静時の呼吸、体温維持、心臓の拍動など生命維持のために必要な最低限のエネルギー消費を指します。
基礎代謝量は1日の総エネルギー消費量の約60%と大きな割合を占めており(1) 、消費を司る組織の内訳としては骨格筋(約21.6%)や肝臓(約21.3%)、脳(約19.9%)のほか、心臓や腎臓などの内臓も大きな割合を占めています。
基礎代謝量には個人差がありますが、一般的には男性で15~17歳、女性で12~14歳でピークを迎え(2)、以降は加齢に伴い筋肉が衰えたり各臓器の活動量が減ったりすることで少しずつ低下していきます。
日々の生活習慣や身体活動量を増やすなど工夫をすれば、基礎代謝を維持・向上させることは十分に可能です。
次章以降では基礎代謝を上げるメリットや基礎代謝を向上させる方法を紹介しますので、できることから実践していきましょう。
(1)参考:田中茂穂(2009)「総論 エネルギー消費量とその測定方法」『静脈経腸栄養』第24 巻 5 号
(2)参考:加齢とエネルギー代謝 | 厚生労働省
2 基礎代謝を上げるメリット
基礎代謝を上げることで得られるメリットとしては、太りにくくなる、冷え性改善、生活習慣病リスクの低減などさまざまなものが挙げられます。
基礎代謝を上げるための方法を実践する前に、まずはそれぞれのメリットを把握しましょう。
燃焼効率が上がり太りにくくなる
基礎代謝が上がると、エネルギーの燃焼効率が向上し、太りにくい身体になります。
基礎代謝は1日の消費エネルギーの約60%と大きな割合を占めているため、基礎代謝が上げることは何もしていないとき(安静時)のカロリー消費を増加させることにもつながり、太りにくい身体づくりにもなります。
とくに基礎代謝のなかでも消費が大きい筋肉を鍛えて筋肉量を増やすと、筋肉の維持に多くのエネルギーを使うようになります。
次章では、基礎代謝を上げる方法のひとつとしておすすめの筋トレを紹介していますので、ぜひ実践しましょう。

冷え性改善につながる
基礎代謝が上がると、体内で熱が生まれやすくなって冷え性の改善効果が期待できます。
冷え性の原因は医学的に明確に断定されているわけではありませんが、冷えを感じやすい人には基礎代謝が低い、ダイエットの経験が多いなどいくつかの共通点があると言われています(3)。

冷え性の大きな要因とされるのが、「熱の不足」と「血流の低下」です。
身体はエネルギーを消費するときに熱を生み出すことで体温の維持につながっていますが、基礎代謝が低い人は安静時のエネルギー消費が少なく熱が十分に生まれないため、末端の手足などが冷えやすくなると考えられます。
一方で基礎代謝が高い人は、安静にしていてもエネルギーを十分に消費し、その過程で熱を生み出すことができるため、血流も促進されて指先や足先などの温度も上がりやすくなります。
基礎代謝を上げることは身体で熱を生み出しやすくなるため、冷え性改善に効果的です。
(3)参考:冷え症の生理学的メカニズムについて─健常成人男女の自律神経活動と熱産生による検討─|日本臨床生理学会雑誌 Vol. 52, No. 2, 2022
生活習慣病リスクの低減
基礎代謝が上がることで、生活習慣病リスクの低減が期待できます。
糖尿病・高血圧・脂質異常症などといった生活習慣病は、その名前のとおり日々の食事、運動、睡眠といった生活習慣の乱れが関係して発症する病気のことです。
上記に挙げたような生活習慣病には、「内臓脂肪の蓄積」や「インスリン抵抗性(血糖コントロールの低下)」が深く関係していると言われています。
基礎代謝が高ければ安静時でも多くのエネルギーが使われ、脂肪が燃焼しやすい身体になり
ます。

基礎代謝が高いと内臓脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できるため、肥満を予防し、血糖や血圧、血中脂質のバランスを正常化させることにもつながるでしょう。
また、筋肉量の増加による基礎代謝の向上が血糖値の安定化につながるという報告もあり、基礎代謝の向上は生活習慣病リスクの低減に効果的であると言えます(4)。
(4)参考:平沢ほか(2018)「女性2型糖尿病患者の上下肢・体幹筋量とインスリン抵抗性の関連」『理学療法科学』第33巻3号
3 基礎代謝を上げる方法|効率の良い上げ方とは
基礎代謝を上げる方法は、筋トレやストレッチ、有酸素運動、水分を十分に摂ること、身体が温まる食事を摂ることなど複数あります。
この章では効率の良い基礎代謝の上げ方をおすすめ順に紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
筋トレで筋肉量を増やし基礎代謝を上げる
基礎代謝を上げる方法として特におすすめなのが筋トレです。
筋肉は基礎代謝の20%近くの割合を占めているため、筋肉量を増やすことで基礎代謝を効率よく向上させることができ
ます。
筋トレのなかでも、基礎代謝の向上にはスクワットがおすすめです。
スクワットは、大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋といった全身の大きな筋肉を同時に鍛えることができるため、効率よく基礎代謝を上げることができるでしょう。
撮影協力:SIXPADオフィシャルトレーナー ENA
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1.
足を肩幅くらいに開いて立ち、両手は床に平行になるように前方に伸ばすか胸の前でクロスする。
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2.
腰を軽く後ろに引きながら身体をゆっくりと下げ、両ひざが約90°になるようにひざを曲げる。
※上半身は真っ直ぐ保ち、ひざはつま先より前に出ないようにしましょう。 -
3.
足裏で床を押しながらゆっくり立ち上がる。
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4.
1~3を10回×3セット行う。
ストレッチによる血流改善で代謝を上げる
筋トレに加えて、ストレッチで筋肉を伸ばすことも基礎代謝向上に効果的です。
ストレッチをすると血流量が増加し、基礎代謝に深く関わる体温も上昇させることができるでし
ょう。
またストレッチにより筋肉のこわばりが改善すると、可動域が拡がって筋肉をうまく使えるようになり、トレーニング効果の向上が見込めます。

筋肉をほぐして血流を促進することは代謝の改善につながるだけでなく、全身に酸素や栄養が行き渡って内臓や筋肉の働きの改善にもつながるため、筋トレと合わせてストレッチも積極的に取り入れるようにしましょう。
有酸素運動で脂肪燃焼力を高める
有酸素運動で脂肪燃焼力を高めることでも、基礎代謝の向上が期待できます。
有酸素運動では最初に糖質がエネルギーとして使われますが、糖質が減ってくると脂肪をエネルギー源として燃焼するようになります。
定期的に有酸素運動に取り組むことで、脂肪酸を効率よく燃焼させる能力が高まるだけでなく、一定時間身体を動かし続けることで血流も改善し、基礎代謝を向上させることができます。
ウォーキング、スイミング、サイクリングのほか、一駅分歩くなど日常生活に取り入れやすい形で構わないので、20分以上を目安に実施することを心がけましょう。

水分をしっかり摂る
基礎代謝を上げるためには、水分をしっかりと摂ることも重要です。
人間の身体は血液やリンパ液、筋肉や臓器に多くの水分が含まれており、人間の身体の約60%以上が水分で構成されています。
水分が不足すると、内臓も筋肉も機能的に働くことができず代謝が低下する原因となるため、基礎代謝を向上させやすい環境を整えるためにも水分をしっかり摂るようにしましょう。

人間の身体からは1日に約2.5リットルの水分が排出されているため、同等の水分を体内に取り込む必要があります。
2.5リットルの水分を補うためには、「食事1リットル・体内生成0.3リットル・飲み水1.2リットル」が目安とされているため、飲み水として1.2リットル程度飲めるよう意識しましょう(5)。
(5)参考:熱中症環境保健マニュアル2022|環境省
身体が温まる食事を摂る
身体が温まる食事を摂ることも、基礎代謝の向上につながります。
特に温かい汁物や鍋料理などは身体を温める効果も期待できるだけでなく、具沢山でさまざまな栄養をバランスよく摂取することができます。
温かい料理のほか、血液の巡りを良くする鉄分が含まれるレバーやほうれん草、筋肉を維持するために必要なたんぱく質なども意識的に取り入れるようにしましょう。

4 まとめ
基礎代謝とは、生命維持のために必要となる最低限のエネルギー消費量のことを指します。
基礎代謝を上げることは、太りにくくなる、冷え性の改善につながる、生活習慣病リスクを下げるといったさまざまなメリットがあります。
基礎代謝は、筋トレやストレッチ、有酸素運動、身体が温まる食材を摂ることで効果的に向上させることができます。
基礎代謝は加齢とともに減少する傾向にありますが、ストレッチや有酸素運動などを組み合わせて実践することで、効率良く上げることができるでしょう。
日常生活に取り入れやすいものから実践し、継続的に取り組んでみましょう。