骨盤の歪み

自律神経を整える

骨盤の歪みの原因と整えるためのストレッチ

自分で手軽に矯正できる方法を紹介

骨盤の歪みの原因には、姿勢の崩れや筋肉の衰え、妊娠・出産による影響が挙げられます。
骨盤が歪むことで肩や腰に負担がかかり、肩こりや腰痛といった不調を招く可能性があります。
本記事では、骨盤の歪みを矯正するストレッチを5つ紹介していきます。
どれも手軽に実践でき普段の生活に取り入れやすいため、骨盤の歪みが気になる方はぜひ最後までご覧ください。

1 骨盤の歪みの原因は?

骨盤の歪みの原因には、姿勢の崩れや筋肉の衰え、妊娠・出産が挙げられます。
骨盤の歪みとは骨盤の位置や傾きのアンバランスさを指し、まずは歪みの原因を知ることで自分に合った矯正方法を見つけるヒントになるでし
ょう。
ご自身の状態と照らし合わせて、どの原因が該当するかチェックしてみましょう。

姿勢の崩れ

骨盤の歪みが生じる原因で多いのが、姿勢の崩れだと言われてい
ます。
姿勢が崩れると、骨盤が傾いたりねじれたりすることで身体を支えようとするため、骨盤の歪みに繋がる可能性があります。
姿勢の崩れの例としては、下記が挙げられ
ます。

  • 足を組んで座る
  • 片足に重心をかけて立つ
  • 椅子に浅く座る
  • 胡坐(あぐら)をかいて座る
  • 横座りをする
姿勢の崩れ

上記に挙げたような姿勢の崩れが長時間のデスクワークなどで常態化している方は、骨盤が歪みやすいと言われてい
ます。
実際に、椅子に浅く座り背中を丸めた姿勢で30分座り続けると、立ち上がったときに骨盤が後傾してしまうという研究結果も報告されています(1)

(1)参考:J Leeほか(2011)「The Mechanical Effect of Anterior Pelvic Tilt Taping on Slump Sitting by Seated Workers」『Industrial Health』第49巻4号

運動不足による筋肉の衰え

骨盤の歪みの原因には、運動不足による筋肉の衰えが挙げられ
ます。
骨盤は多くの筋肉とつながっており、それぞれの筋肉が連動して骨盤を支えています。
例えば骨盤の前側は腹直筋・腹横筋・腸腰筋などが付着して姿勢を安定させる役割、後ろ側は脊柱起立筋・多裂筋などが付着して骨盤を安定させる役割を担っています。
しかし、運動不足により骨盤を支える筋肉が衰えると骨盤の安定性が低下し、骨盤の歪みが生じる原因になることがあります。

運動不足による筋肉の衰え

妊娠・出産

妊娠中や出産による身体の変化も、骨盤の歪みの原因となる場合があります。
妊娠期には靭帯や関節を緩める作用がある「リラキシン」と呼ばれるホルモンが分泌され、骨盤を広げて産道を確保し、出産に向けて身体が変化していきます。
この作用は出産後数週間で落ち着くものの、緩んだ靭帯や筋肉はすぐに回復するわけではないため、産後の身体は歪みやすい状態になっています。

妊娠・出産

また産後は抱っこや授乳、育児など偏った姿勢になるシーンも多くあるため、骨盤に負担がかかりやすくなって歪みが残ることもあります。
このように、妊娠・出産による身体の変化も骨盤の歪みの原因になることがあります。

2 自宅での骨盤の歪み矯正に効果的なストレッチ

この章では、骨盤の歪み矯正に効果的なストレッチを5つ紹介します。
立っているとき、座ったままできるものなど、普段の生活で気付いたタイミングで気軽に取り組めるストレッチを紹介していますので、ぜひ今日から取り入れてみましょう。

撮影協力:SIXPADオフィシャルトレーナー KENTA

■ 立ったままでできる骨盤の歪みを矯正するストレッチ

立ったままでできる股関節のストレッチは、主に内転筋・臀筋群・腸腰筋などの股関節周りの筋肉を伸ばすストレッチです。
股関節周りの筋肉が硬くなると骨盤が左右に歪みやすくなるため、日頃から歩くことが少ない人や、座っている時間が長いデスクワークの方にはぜひ取り入れていただきたいストレッチのひとつです。
ストレッチ中は、呼吸を止めないよう注意しまし
ょう。

  • 1.

    立った状態で足を肩幅程度に開き、つま先を外側に向ける。

  • 2.

    膝を曲げて腰を落とし、ガニ股の姿勢をつくる。

  • 3.

    片方の肩を内側に入れながら反対側を向き、20秒ほどキープする。

  • 4.

    反対側も同様に行い、2~3セット繰り返す。

■ 片膝をついて骨盤の歪みを矯正するストレッチ

膝立ちストレッチは、主に腸腰筋を伸ばすストレッチです。
腸腰筋は骨盤の前面にある骨盤の前傾に関係しているため、特に骨盤前傾による反り腰が気になる人におすすめのストレッチです。
ストレッチ中は、後ろの足の前ももの伸びを意識しながら行いましょう。

  • 1.

    膝で立ち、足は腰幅程度に開く。

  • 2.

    片方の足を膝が90°になるように前方へ踏み出す。

  • 3.

    前へ出した足のももの上に両手を置き、重心を前へ移動する。

  • 4.

    前もも・股関節の付け根・下腹部の伸びを感じたら、呼吸を繰り返しながら10秒キープする。

  • 5.

    ゆっくり2の姿勢へ戻り、足を入れ替えて2~4を繰り返す。

■ 座りながら骨盤の歪みを矯正するストレッチ

股関節内外旋ストレッチは、座った状態でできる骨盤の歪み矯正ストレッチです。
お尻の筋肉である梨状筋や中臀筋、骨盤から脛にかけてある縫工筋など、股関節周りの筋肉にアプローチすることができます。
股関節周りの筋肉が衰えると骨盤のバランスが崩れて左右のねじれが強くなるため、骨盤の左右の高さが気になる人には特におすすめのストレッチです。
もともと股関節周りが柔らかい人は、ストレッチ効果を感じづらい場合もあります。
股関節周りに伸びを感じる場合は周辺の筋肉が硬くなっている可能性が高いため、積極的に取り入れていきまし
ょう。

  • 1.

    膝を立てた状態で床に座り、両手は後ろにつく。

  • 2.

    片方の膝を内側に倒し、反対の膝は外側に倒す。

  • 3.

    2の状態を20秒キープした後、左右を入れ替えて同様に行う。

  • 4.

    2~3を2~3セット繰り返す。

■ 寝ながら骨盤の歪みを矯正するストレッチ

仰向けで膝を胸に抱え込む膝抱えストレッチは、骨盤から腰椎にかけてある腰方形筋や背中や骨盤にかけてある脊柱起立筋、臀部の深層筋を伸ばせるストレッチです。
腰や骨盤周りの緊張を緩めることができるため、特に腰痛でお悩みの人や座っている時間が長いデスクワーカーにおすすめです。
寝た状態で手軽に実践できるため、寝起きや就寝前に実践いただくのもおすすめです。
両方の肩は床につけたまま、呼吸を止めずに膝をゆっくりと引き寄せるようなイメージで実践しましょう。

  • 1.

    床に仰向けで寝る。

  • 2.

    息を吐きながら、胸に近づけるイメージで両膝を抱える。

  • 3.

    2の状態を15秒程度キープし、3セット繰り返す。

■ 体幹を鍛えながら骨盤の歪みを矯正するストレッチ

このストレッチでは主に腸腰筋にアプローチしますが、ストレッチ時の姿勢を安定させるために腹直筋や腹横筋なども使うため、同時に体幹トレーニングもできるストレッチです。
寝た状態で実践できるため、寝起きや就寝前などに手軽に実践できます。
お尻を持ち上げることができなければ腸腰筋を効果的に伸ばせないため、ストレッチ時の姿勢を意識して実践することが大切です。
腰の痛みを感じる場合は無理をせず、中止しましょう。

  • 1.

    仰向けで寝て、両足は足裏同士をくっつ
    ける。

  • 2.

    片方の膝を立てた状態で、お尻を持ち上
    げる。

  • 3.

    2の状態を10秒キープしたら元の位置に戻り、逆側も同様に行う。

  • 4.

    2~3を2~3セット繰り返す。

3 骨盤の歪みをセルフチェックする方法

骨盤の歪みを簡易的にチェックする方法として、「壁立ちテスト」と「お尻歩きテスト」を紹介し
ます。
ストレッチを継続しながら定期的にセルフチェックを行うと、効果が実感しやすくなってモチベーション維持にもつながるのでおすすめです。
ただし、紹介するチェック方法はあくまでも目安となるため、不調や痛みがある場合は医療機関に相談しましょう。

・ 壁立ちテスト

かかと・お尻・肩・後頭部の4点を壁に付けてまっすぐ立ち、腰と壁の間に手のひらの厚さ程度の隙間があるかを確認し
ます。
隙間が極端に狭い、また隙間が広すぎる場合は、骨盤が前傾・後傾している可能性があり
ます。

・ お尻歩きテスト

両足を伸ばした状態で床に座り、目をつむりお尻で大きく歩くようなイメージで20歩ほど前に進みます。
スムーズにまっすぐ進めない、片方に偏る場合などは、骨盤が歪んでいる可能性があります。

4 まとめ

本記事では、骨盤の歪みの原因と骨盤の歪みを整えるためのストレッチを紹介しました。
骨盤が歪む原因には、姿勢の崩れ、筋肉の衰え、妊娠・出産による影響などがあり、原因を知ることで効果的に対策ができるでしょう。
本記事では骨盤の矯正に役立つストレッチを紹介しています。
立ったままや座ったまま、寝たままで取り組めますのでぜひ普段の生活のなかで取り組んでみましょう。