インナーマッスルの鍛え方

インナーマッスルの鍛え方

インナーマッスルの鍛え方

自宅でトレーニングできるメニュー5選

インナーマッスルは身体の表層ではなく深い位置にある筋肉の総称で、姿勢を支える、関節を安定させるなどの役割を担っています。
代表的な筋肉としては、コルセットのように周囲を囲うように付着して体幹を安定させる「腹横筋」、
股関節の動きや骨盤の安定性を高める「腸腰筋」、背骨を支えて姿勢を保つ「多裂筋」などがあります。
インナーマッスルを鍛えることで、姿勢の改善や腰痛の予防、基礎代謝の向上などさまざまなメリットが期待できます。
本記事では、自宅で手軽に取り組めるインナーマッスルの鍛え方を紹介しています。
効果的に鍛えるためのポイントも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

1 インナーマッスルを鍛えるメリット

インナーマッスルを鍛えることで、姿勢の改善や腰痛の予防、基礎代謝の向上、骨盤が安定しやすくなるなど、さまざまなメリットが期待できます。
日常生活においてさまざまなメリットを得られるため、インナーマッスルを鍛える前にはぜひ鍛えることで得られるメリットをチェックしておきましょう。

インナーマッスルを鍛えるメリット

姿勢が良くなる

インナーマッスルを鍛えることで、姿勢が良くなります。
インナーマッスルは背骨や骨盤などを安定させる役割を担っているため、鍛えることで姿勢が崩れにくくなります。
特に、腹横筋や多裂筋などの筋肉が身体を支えることで正しい姿勢を保ちやすくなり、姿勢が良くなる効果が期待でき
ます。

腰痛を予防できる

インナーマッスルを鍛えると、腰痛予防の効果も期待できます。
腰周りを中心とした体幹の筋肉が衰えると腰椎(腰の骨)への負担が大きくなり、腰痛につながります。
インナーマッスルを鍛えることは腰椎への負担を和らげ、腰痛のリスクを抑える効果を期待できるでしょう。
特に腹横筋を鍛えると腰椎が安定し、日常生活のあらゆる動作で感じやすい腰椎への負担の軽減につながります。

基礎代謝が向上する

インナーマッスルを鍛えることで、基礎代謝の向上が期待できます。
基礎代謝とは、普段何もしていないときに消費するエネルギーのことをいい、呼吸や体温維持、心臓の拍動といった内臓の動きに必要な最低限のエネルギー消費のことです。
1日の消費エネルギーの約60%を基礎代謝が占めており、そのうち筋肉によって消費されるのは約20%と大きな割合を占めています(1)
インナーマッスルのひとつである横隔膜は体幹の安定を高めるだけでなく、呼吸するときにも必要な筋肉です。
また、腹横筋や多裂筋も姿勢を安定させるために常に働き続けているため、これらの筋肉を鍛えることで安静時でも効率よくエネルギーが消費されるようになり、太りにくい身体になるでしょう。

(1)参考:田中茂穂(2009)「総論 エネルギー消費量とその測定方法」『静脈経腸栄養』第24巻5号

骨盤が整う

インナーマッスルを鍛えると、骨盤を整えられる効果も期待できます。
インナーマッスルに分類される腸腰筋は、骨盤を前から支えて安定させ、正しい姿勢を維持する役割を担っています。
腸腰筋が衰えると骨盤が後傾しやすくなり、歪みにもつながります。
また、骨盤底筋群は骨盤の底にハンモックのように広がっているインナーマッスルです。
骨盤を下から支えている骨盤底筋が衰えると、骨盤のバランスが崩れる可能性があります。
そのため、インナーマッスルを鍛えることは骨盤のバランスが整うといったメリットも得られるでしょう。

2 インナーマッスルの鍛え方|自宅でできるトレーニング方法5選

インナーマッスルのトレーニングは、特別な器具を使わずに簡単に実践できます。
本章では、自宅で手軽に実践できるインナーマッスルトレーニングの方法を5つ厳選して紹介していきますので、無理なくできそうなものから実践してみましょう。

撮影協力:SIXPADオフィシャルトレーナー KENTA・ENA

■ プランク|多くのインナーマッスルを鍛える

プランクは、インナーマッスルを鍛えるために必ず実践しておきたいトレーニングのひとつです。
プランクは、腹横筋・多裂筋・横隔膜など多くのインナーマッスルを同時に鍛えることができるのが特長です。
腰を浮かせる姿勢をとることから腰に少し負荷がかかるため、トレーニング初心者や腰痛が気になる方はひざをついた状態で行うなど、無理のない範囲で実践しましょう。

  • 1.

    うつ伏せの姿勢から両ひじを床につける。

  • 2.

    腰を浮かせ、つま先を立て、横から見ると一直線になるよう姿勢をキープする。

  • 3.

    2の姿勢を60秒キープする。

■ ドローイン|お腹のインナーマッスルを強化

ドローインは、深い呼吸を意識して行うインナーマッスルのトレーニングで、主に腹横筋・多裂筋・骨盤底筋などを効率良く鍛えることができます。
姿勢の崩れやぽっこりお腹が気になる方はもちろん、コルセットのように働く腹横筋を鍛えることができるため、腰痛が気になる方にもおすすめです。
ドローインは寝た状態で実践するトレーニングのため、運動が苦手な方や高齢者でも無理なく実践できるでしょう。

  • 1.

    両ひざを曲げて仰向けになる。

  • 2.

    ゆっくり息を吐きながらお腹をへこませる。

  • 3.

    お腹をへこませた状態をキープしたまま呼吸を続け、30秒経ったらお腹の力を抜く。

  • 4.

    2~3を3セット繰り返す。

■ バードドッグ|背中・お尻のインナーマッスル強化

背中やお尻のインナーマッスルを鍛えたいときは、バードドッグがおすすめです。
バードドッグは四つん這いの状態から対角の手足を伸ばして行うトレーニングで、脊柱起立筋や臀筋群を効果的に鍛えられるほか、不安定な状態をキープすることからバランス感覚を養うこともできるでしょう。
姿勢の崩れを改善して綺麗な姿勢になりたい人や、お尻を引き締めたい人に特におすすめのトレーニングです。

  • 1.

    床に手をつき四つん這いになる。

  • 2.

    片腕を前に伸ばし、伸ばした腕と反対の足を後ろに伸ばす。

  • 3.

    姿勢を戻し、反対の手と足を伸ばす。

  • 4.

    2~3を各10秒ずつ10~20回繰り返す。

■ ヒップリフト|アウターマッスルも同時に鍛えられる

ヒップリフトは、アウターマッスルとインナーマッスルの両方を同時に鍛えられるトレーニング
です。
大臀筋やハムストリングなどのアウターマッスルを鍛えられるほか、腹横筋や骨盤底筋などのインナーマッスルも刺激することができます。
お尻のたるみが気になる人や正しい姿勢を手に入れたい人には特におすすめのトレーニング
です。
お尻を持ち上げ過ぎて腰が反り過ぎると腰への負担が増加して逆効果になってしまうため、正しいフォームを意識して実践しましょう。

  • 1.

    マットの上に仰向けになり、両足のひざを立てて足裏を床につける。

  • 2.

    床を足裏で押してお尻を持ち上げ、お尻がいちばん高い位置で3秒キープする。
    ※お尻を締めながら上げることを意識しましょう。

  • 3.

    息を吸いながら、お尻をゆっくりと床に
    戻す。

  • 4.

    1~3を10回×3セット行う。

■ 骨盤底筋のトレーニング|骨盤の安定性強化

骨盤を支える骨盤底筋は、姿勢の安定だけでなく尿漏れ予防にも大きな役割を果たしています。
特に、産後や加齢とともに骨盤底筋が弱くなると尿漏れや姿勢の崩れを感じやすくなるため、意識的に骨盤底筋を鍛えるといいでしょう。
骨盤底筋のトレーニングは座った状態で手軽に実践できますが、はじめのうちは骨盤底筋を動かす感覚を掴むのが難しいと思いますので、地道に実践してコツをつかんでいきましょう。

  • 1.

    椅子に深く座って両足を床につける。
    ※ひざは90度に曲げ、骨盤を真っすぐ立
    てる。

  • 2.

    肛門や尿道を「キュッ」と引き上げるようなイメージで、骨盤底筋を締める。
    ※お尻やお腹の筋肉に力を入れないように注意しましょう。

  • 3.

    2の状態を約3秒間保ち、ゆっくりと力を
    抜く。
    ※呼吸を止めないように意識しましょう。

  • 4.

    2~3を10回繰り返す。

3 インナーマッスルを効果的にトレーニングするためのポイント

インナーマッスルは表層にある筋肉(アウターマッスル)とは違い、身体の深層部にあります。
この章では、インナーマッスルを効果的に鍛えるためのポイントを2つご紹介します。

インナーマッスルのトレーニングのポイント

呼吸を意識しながら取り組む

インナーマッスルのトレーニングをするときは、呼吸を意識しながら取り組むと効果的です。
インナーマッスルのなかでも腹横筋・骨盤底筋群・横隔膜は「呼吸筋」とも呼ばれており、呼吸と連動して動いています。
トレーニングをするときに呼吸を止めてしまうと、これらの筋肉が適切に動かず代わりにアウターマッスルに力が入ってしまい、インナーマッスルを刺激できない可能性があります。
そのため、インナーマッスルのトレーニングを行うときは、まずは呼吸を止めないことを意識しましょう。
慣れてきたら、吸うときにお腹を膨らませて吐くときにお腹を凹ませる「腹式呼吸」を意識できるとさらに効果的です。

負荷をかけすぎないように注意
する

インナーマッスルのトレーニングをするときは、負荷をかけすぎないよう注意しましょう。
インナーマッスルは深層にある小さな筋肉のため、ダイナミックな動きで負荷がかかりすぎるとアウターマッスルが優先的に働いてしまいます。
そのため、インナーマッスルは低負荷で正しいフォームと呼吸を意識しながら行うことが重要
です。
インナーマッスルを鍛えるためのトレーニングには動きがないものも多いですが、身体の内側から効いている感じがすれば正しくインナーマッスルを鍛えられている証拠です。

4 まとめ

本記事では、インナーマッスルを鍛えるメリットや具体的な鍛え方、効果的に鍛えるためのポイントを紹介しました。
インナーマッスルを鍛えることで、姿勢改善や腰痛予防、基礎代謝向上といったメリットが期待できます。
インナーマッスルのトレーニングは動きが少ないものが多く、自宅で気づいたときに手軽に実践できるため、ぜひ今日から取り組みましょう。