睡眠で疲労回復できる理由

睡眠で疲労回復できる理由とは?
睡眠不足がもたらす3つのリスクも解説
睡眠には日中に酷使した脳や身体を休ませ、回復させる重要な役割があります。
しかし、睡眠不足や睡眠の質が低下すると十分に疲労回復できず、だるさや集中力の低下につながることもあるため注意が必要です。
本記事では、睡眠で疲労回復する理由と睡眠不足がもたらす3つのリスクについてわかりやすく解説します。
また、今日からできる睡眠の質を高める方法も紹介します。
生活習慣を見直し、心身ともに健やかな毎日を目指しましょう。
1 なぜ睡眠で疲労回復できるのか?
睡眠中は心拍数や呼吸、血圧が減少し、身体が休息モードになります。特に、ノンレム睡眠中には成長ホルモンが多く分泌され、筋肉や細胞の修復を促進します。同時に、脳では覚醒時にたまった老廃物が効率よく排出され、すっきりした状態に整えるメンテナンスも行われます(1)。
睡眠が不足すると、回復のプロセスが十分に働かず、疲れが取れにくくなるため、十分な睡眠時間を確保することが大切です。

2 疲労回復に必要な睡眠時間とは
そもそも、どれくらい眠れば疲れがしっかり取れるのかわからない方もいるのではないでしょうか。ここでは、心身の疲労回復に必要な睡眠時間の目安や考え方について、わかりやすく解説していきます。
6時間以上が推奨されている
適正な睡眠時間に個人差はありますが、6時間以上が推奨されています。7時間前後の睡眠をとっている人は、生活習慣病やうつ病のリスクが低いとされています(2)。
睡眠時間は短すぎても長すぎても健康リスクが高まると考えられているため、自分に合った睡眠時間を意識することが大切です。
自分に合った睡眠時間を見つけるには、1週間ほど目覚ましを使わずに眠り、自然に目覚める時間を記録してみましょう。時間が定まってきたら、それが最適な睡眠時間の目安となります。
記録には厚生労働省の睡眠チェックシート(3)の活用もおすすめです。睡眠改善のアドバイスも載っているので、ぜひ参考にしてみてください。

年齢・季節によって必要な睡眠時間は変わる
必要な睡眠時間は、年齢・季節によっても異なります。年齢ごとの平均睡眠時間は以下の通りです。

睡眠時間は、年齢とともに少しずつ短くなると考えられています。15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳では約6時間と、20年ごとに約30分ずつ減少する傾向があります。
最適な睡眠時間は変化するため、自分に合った睡眠リズムを見つけることを意識しましょう。

さらに、睡眠時間は季節によっても変化し、夏に比べて冬は10〜40分ほど長くなる傾向があります。主な要因として、冬は日の出から日の入りまでの時間が短くなることが考えられています。

3 睡眠不足がもたらす3つのリスク
睡眠不足が続くとただ眠いだけでなく、心身にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、睡眠不足がもたらす3つのリスクを解説します。最近よく眠れないと感じている方は、ぜひ参考にしてください。
太りやすくなる
睡眠不足は太りやすくなる原因のひとつです。睡眠時間が1日5時間未満の人は、肥満のリスクが高まる(4)ことがわかっています。
睡眠時間が5時間以上の人に比べて肥満のリスクは1.13倍、メタボリックシンドロームのリスクは1.08倍になるという報告(5)もあります。体形維持や健康のためにも、十分な睡眠時間を確保することが大切です。

ストレスが増加する
睡眠不足が続くと、ストレスが増えやすくなることもリスクのひとつです。深い睡眠に入ることで分泌される成長ホルモンは、細胞の修復や疲労回復に欠かせません。
ところが、眠りが浅くなるとホルモンの分泌が不十分になり、心身にストレスが蓄積しやすくなります。さらに、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されると、免疫力の低下や体調不良を引き起こす恐れもあります。
睡眠不足は過剰なコルチゾール反応と関連しているとの報告(6)もあり、健康を守るためにも、日々の睡眠の質を見直すことが大切です。

生活習慣病のリスクが高まる
慢性的な睡眠不足は、生活習慣病のリスクを高めます。十分な睡眠がとれていないと、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の発症率が高まる(7)ことが明らかになっています。
これは、ホルモン分泌や自律神経機能の乱れによって、身体の代謝や免疫が正常に働かなくなるためです。中でも糖代謝への影響は大きく、膵臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなると、血糖値が上昇しやすくなります。
睡眠時間が5時間以下の人は、7〜8時間の人に比べて糖尿病の発症率が2.5倍に上昇するとの報告(8)もあります。

4 睡眠は「時間」だけではなく「質」も大切
睡眠は時間だけでなく、どれだけ休養できているかといった質も重要です。
以下の表では、年齢別に見た睡眠による休養感の割合を示しています。

睡眠で休養がとれていると感じている人は、令和5年は全体の74.9%にとどまり、平成21年以降は減少傾向にあります。つまり、以前に比べて「よく眠れた」と実感している人が減ってきているということです。
疲労をためこまないためにも、適切な睡眠時間の確保と生活環境の見直しが大切だといえます。

5 睡眠の質を高めるためにできる4つのこと
質の良い睡眠は、心身の健康や日中のパフォーマンスを維持するうえで欠かせません。ここでは、睡眠の質を高めるためにできる4つのことを紹介します。すぐに日常生活で取り入れられるものばかりなので、ぜひ実践してみてください。
適度に運動する
良質な睡眠をとるためには、日中に適度な運動を取り入れることが効果的です。睡眠は日中の活動で消耗した体力を回復する役割も担っており、運動量が少ないと寝つきが悪くなることもあります。
健康のためには1日60分程度の身体活動が理想ですが、忙しい場合は短時間の運動を習慣化するだけでも効果が期待できます。たとえば、1日の中でこれまでより10分多く歩くことから始めるのもおすすめです。
ストレッチやヨガ、軽い筋力トレーニング、ジョギングなど、自分の生活リズムに合わせて取り組める運動から始めましょう。

睡眠環境を整える
快適な睡眠には、寝室の環境を整えることも大切です。「光」「温度」「音」の3つの要素を考慮した環境を意識しましょう。
室温は暑すぎず寒すぎないように調整し、照明は夜になるにつれて徐々に暗くして、光の刺激を減らします。睡眠中はできるだけ暗く、静かな環境を保つことが理想です。
騒音が気になる場合は、防音機能のあるカーテンや壁の設置を検討しても良いでしょう。

ぬるめの湯船に浸かる
寝る前にぬるめのお湯にゆっくり浸かることもおすすめです。就寝1〜2時間前に40℃前後の湯船に10〜15分浸かると深部体温が上がり、体温が下がる過程で眠気が訪れやすくなります(9)。この体温の変化が寝つきを良くし、深いノンレム睡眠を増やすことにつながります。
また、しっかり汗をかくことで副交感神経が優位になり、リラックス状態になりやすいのもポイントです。入浴後はほてりが落ち着くまで少し時間をとってから寝室に向かいましょう。
(9)参考:快眠と生活習慣|e-ヘルスネット(厚生労働省)

自分に合った寝具を選ぶ
肌触りの良い寝具を使うことで、よりリラックスした状態で眠りにつけます。先述した睡眠環境を整えたうえで、自分に合ったものを選びましょう。
マットレスや敷き布団は適度な硬さのもの、掛け布団は保温性・吸湿性・放湿性が良いものを選ぶことがポイントです。
また、枕は自分の体型に合った高さで、安定感のあるものを選ぶと良いでしょう。

6 睡眠・疲労回復に関するよくある質問
最後に、睡眠や疲労回復に関するよくある質問に回答します。昼寝の効果や短時間睡眠と疲労回復の関係性について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
短時間の睡眠でも疲労は回復する?
睡眠の質も大切ですが、まずは十分な睡眠時間を確保することが疲労回復の基本です。短時間の睡眠だけでは、身体も脳も十分に休まりません。
特に、6時間未満の睡眠が続くと、睡眠負債が蓄積し、日中のパフォーマンスや健康に悪影響を及ぼします。睡眠時間が6時間未満の場合、死亡リスクが有意に上昇するとの報告(10)もあります。
また、寝だめで不足分を補おうとしても、根本的な解決にはなりません。忙しい日々のなかでも、可能な限り毎日6時間以上の睡眠時間をとることを意識しましょう。
(10)参考:健康づくりのための睡眠ガイド2023|厚生労働省

睡眠で疲労回復するためにおすすめのグッズはある?
入眠を促す香りのアロマやリラックスできる音楽、騒音を遮断する耳栓などは、睡眠環境を整えるアイテムとしておすすめです。
また、軽くて寝返りしやすい掛け布団や、保湿性・吸湿性のある寝間着も、快適な眠りをサポートします。寝間着は天然素材や機能素材で、肌触りが良く身体を締めつけないものを選ぶと良いでしょう。

昼寝は疲労回復に効果がある?
昼寝は、うまく取り入れることで疲労回復や集中力アップに役立ちます。特に、30分以内の短い昼寝は眠気を和らげるだけでなく、心臓病やアルツハイマー病のリスクを下げる可能性も考えられています(11)。
ただし、長く眠りすぎると深い眠りに入ってしまい、目覚めた後に頭がぼんやりすることがあるため注意が必要です。昼寝をするなら、昼食後から午後3時ごろまでの時間帯に、30分程度にとどめるのが理想的です(12)。

(11)参考:林光緒(2024)「昼寝の功罪とパワーナップ」『睡眠と環境』第18巻1号
(12)参考:知っているようで知らない睡眠のこと|厚生労働省
7 質の高い睡眠をとって元気に1日を過ごそう!
本記事では、睡眠で疲労回復できる理由について詳しく解説しました。睡眠中は心拍数や血圧、脈拍が下がり、呼吸も穏やかになっていきます。体温も低下し、筋肉がゆるむことで心身はしっかりと休養状態に入ります。
大切なのは、自分に合った睡眠時間と生活習慣を見つけて、無理のない形で改善していくことです。紹介した方法を参考に、ぐっすり眠れる環境や習慣づくりを少しずつ取り入れてみてください。

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