自然乾燥が髪に与えるメリットはない
髪を乾かす際、「強い熱を与えずに自然乾燥させた方が髪に良い」と考える方もいるのではないでしょうか。しかし、実際には自然乾燥によって得られるメリットはほとんどありません。
唯一挙げられるのは、ドライヤーによる熱ダメージを避けられる点ですが、それ以上に自然乾燥が髪や頭皮に及ぼす影響は大きく、かえって負担となる場合が多いのです。
たしかに、入浴後にドライヤーを使わずに済ませれば手間や時間を省けます。ただし、その代償として髪のツヤを失ったり、頭皮環境を悪化させたりと、悪影響があることを理解しておきましょう。
自然乾燥によるデメリット
前述の通り、髪を自然乾燥させるメリットはほぼありません。一方で、次のような多くのデメリットが存在します。
- ●キューティクルが開くので髪が乾燥してパサつく
- ●頭皮の血行が悪化する
- ●頭皮環境が悪化してフケやかゆみの原因となる
- ●寝グセがついてしまう
髪のツヤを保つには普段のホームケアが重要です。自然乾燥に頼りがちな方はデメリットについても把握しておきましょう。
キューティクルが開くので髪が乾燥してパサつく
髪の表面は、うろこ状の「キューティクル」で覆われています。このキューティクルがきちんと閉じていると、髪の内部に水分や栄養が保たれ、なめらかでツヤのある髪を維持できるのです。
しかし、キューティクルには髪が濡れると開く性質があります。ドライヤーの温風できちんと乾かした後に冷風を使うことで素早く閉じられますが、自然乾燥の場合はそのまま開いた状態が続きます。
その結果、髪の水分や栄養分が外に逃げてしまい、乾燥・パサつき・枝毛・切れ毛などのダメージが起こりやすくなるのです。特にカラーをしている髪では、色素も流出しやすくなるため、色落ちの原因にもつながります。
頭皮の血行が悪化する
濡れた髪を長時間放置すると、気化熱によって頭皮の温度が下がります。すると、自覚はしにくいものの、血行が悪化しやすい状態になるのです。
血流が悪くなると、髪の成長に必要な酸素や栄養が毛根まで十分に届かなくなり、健やかな発毛が妨げられます。その結果、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりするほか、乾燥によるパサつきが目立ちやすくなることもあります。
頭皮環境が悪化してフケやかゆみの原因となる
自然乾燥で髪や頭皮を長時間濡れたままにしておくと、蒸れによって雑菌が繁殖しやすくなります。特にマラセチア菌などの常在菌が増えると、頭皮の皮脂バランスが崩れ、乾燥や炎症を引き起こしやすくなります。
その結果、フケやかゆみといった頭皮トラブルが起こりやすくなるだけでなく、症状が悪化すると臭いや薄毛といったトラブルの原因にもなるのです。こうしたリスクを避けるためにも、できるだけ早く髪と頭皮を乾かし、清潔で健やかな環境を保ちましょう。
寝グセがついてしまう
髪は乾く過程で形が固定される性質があります。自然乾燥では乾くスピードにムラが出るため、部分ごとに異なるクセがつき、全体のまとまりが悪くなりがちです。
さらに、髪が濡れたまま寝てしまうと、枕との摩擦や寝返りによって不自然な寝グセがつきやすくなります。加えて、濡れてキューティクルが開いた状態の髪は摩擦に弱いため、摩擦による刺激で枝毛や切れ毛などのダメージが進みやすい点にも注意が必要です。
自然乾燥よりもドライヤーで髪を乾かす方がおすすめな理由
髪は、自然乾燥よりもドライヤーで乾かす方が断然おすすめです。その理由は次の通りです。
- ●キューティクルが素早く閉じる
- ●ツヤ髪を保ちやすい
- ●髪と頭皮を快適に保ちやすくする
- ●翌朝のスタイリングの時短につながる
それぞれの内容をみていきましょう。
キューティクルが素早く閉じる
前述の通り、濡れて開いたキューティクルは、適度な熱で温めてから冷風で冷ますことでしっかり閉じます。ドライヤーを使えば、この「温めて冷ます」工程を短時間で行えるため、自然乾燥よりも早くキューティクルを閉じることができるわけです。
キューティクルが整うことで、髪は摩擦や紫外線などの外的刺激から守られ、内部の水分・栄養も保持されやすくなります。カラーをしている場合も色落ちを防ぎやすく、色持ちの向上につながります。
そのため、ダメージが進む前に、ドライヤーで素早く乾かしてあげることが重要です。
ツヤ髪を保ちやすい
ドライヤーで乾かすことで、キューティクルがしっかり閉じ、表面がなめらかに整います。その結果、光をきれいに反射しやすくなり、自然なツヤを保ちやすくなるのです。
一方、自然乾燥でキューティクルが開いたまま固定されると、表面に凹凸が残るため光を反射しづらくなり、ツヤのない髪に見えてしまいます。
ツヤを出すポイントは、温風で乾かした後に冷風をあてて仕上げること。熱をしっかり冷ますことでキューティクルが密着し、髪の輝きが増すでしょう。キューティクルは上から下に向かってうろこのようになっているため、上方向から45度くらいの角度で冷風をあてることが大切です。
髪と頭皮を快適に保ちやすくする
ドライヤーで髪をしっかり乾かすことは、髪や頭皮を快適に保つためにも大切です。濡れたまま放置すると、蒸れや冷えで不快に感じることがありますが、ドライヤーを使うことで乾きやすくなり、パサつきや広がりも目立ちにくくなります。
髪と頭皮を清潔に保つ習慣として、早めに乾かすことをおすすめします。
翌朝のスタイリングの時短につながる
前述のように、髪は乾く過程でクセが決まります。自然乾燥で髪が湿ったまま寝ると、枕や寝返りで変な寝グセがつき、翌朝のスタイリング時には髪がまとまらず時間がかかってしまう場合もあるでしょう。
ドライヤーで髪を乾かせば、寝グセの原因である水分を飛ばせるため、就寝中のクセがつきにくくなります。また、自然乾燥に比べて髪のコントロールがしやすいため、望み通りのヘアスタイルにできるのもメリットです。その結果、翌朝のスタイリングも楽になるでしょう。
ドライヤーを使用する際の注意点
髪を傷めないためには、ドライヤーを使ってしっかり乾かすことが大切です。一方で、ドライヤーを使うときは次のようなポイントに注意する必要があります。
- ●同じ部分に長時間あてないようにする
- ●毛先ばかり乾かさないようにする
- ●下から上に向かってあてないようにする
せっかくドライヤーを使用しても、使い方を誤るとダメージが進行してしまう恐れがあるので、正しい使い方をマスターしましょう。
同じ部分に長時間あてないようにする
まず前提として、濡れた髪を乾かすときは水の蒸発に熱が使われるため、思うほど髪の温度は上がりません。つまり、必要以上にドライヤーによる熱ダメージを恐れる心配はないのです。
しかし、同じ部分だけに長時間温風をあてると、そこだけ温度が上がってしまい、髪を傷める恐れがあります。また、髪が乾いてからは温度が上がりやすいため、ずっと同じ場所にあてることで、部分的に熱ダメージを受ける可能性があります。
特に、熱いと感じるほどドライヤーを同じ部分にあて続けると、高温によって髪を構成するたんぱく質が熱変性します。結果として、髪のパサつき・枝毛・切れ毛が出やすくなるほか、頭皮の火傷にもつながりかねません。
そのため、ドライヤーの熱が同じ部分にあたりすぎないよう、吹き出し口は髪から10~15cmほど離して温風をあてましょう。小刻みに上下左右に動かし、熱を分散させることも大切です。
毛先ばかり乾かさないようにする
髪を乾かすときに、先に毛先から乾かすという人もいるかもしれません。しかし、髪のなかで一番乾きにくいのは、頭皮近くの根元部分です。つまり、毛先にばかり気を取られると、根元が生乾きになってしまい、部分的に自然乾燥に近い状態になることがあります。
また、毛先を必要以上に乾かすことで、髪が熱変性を起こし、傷みの原因にもなります。なお、このようにドライヤーで必要以上に髪を乾燥させることを「オーバードライ」といいます。
オーバードライを防ぐために、髪は根元から毛先に向かって順番に乾かしましょう。髪が7~8割乾くくらいを目安に温風で乾かし、その後冷風をあてて整えます。
下から上に向かってあてないようにする
ドライヤーは必ず上から下に向かってあてましょう。これは、キューティクルは上から下に閉じるような配列で一列に並んでいるためです。
下から上に向かって風をあてると、キューティクルの流れに逆らうため、キューティクルがはがれやすくなります。キューティクルの流れに沿うように、ドライヤーの風は上から下に向かってあてると、髪がまとまりやすくなります。
ドライヤーで髪を乾かす正しい手順
髪を乾かすときは、ドライヤーの使い方だけでなく、その前の準備も大切です。
- 1. タオルドライできちんと乾かす
- 2. アウトバストリートメントをつける
- 3. 強い温風で根元から全体の8割まで乾かす
- 4. 弱い冷風でセットしながら10割まで乾かす
- 5. 冷風をあてる
それぞれの工程をみていきます。
1.タオルドライできちんと乾かす
ドライヤーを使う時間が長いほど、髪の熱ダメージのリスクは高くなります。最短の時間で乾かせるように、ドライヤーの前にタオルドライを行い、髪表面の水分をしっかり吸い取っておきましょう。
特に髪の根元は水分がたまりやすいため、タオルを頭皮に押しあて、その上から指の腹で頭皮をマッサージするように水分を吸い取ることが大切です。続いて、髪部分をタオルで上下に挟みながら、やさしくたたくように毛先に向かって動かしていきます。
なお、ゴシゴシと力を入れて拭くと、キューティクルがはがれる原因となります。濡れた髪は摩擦に弱い点に留意し、やさしい力加減で水分を吸い取るようにするのがポイントです。
2.アウトバストリートメントをつける
タオルドライ後は、アウトバストリートメントをつけましょう。髪の表面をトリートメント成分で保護し、ドライヤーの熱から髪を守る目的があります。
特に、近年は熱ダメージを防御するものや、熱を味方にして髪を補修するものが多数登場しています。大まかに分けて「ヘアオイルタイプ」と「ヘアミルクタイプ」があるため、髪の悩みや使用感の好みにあわせて使い分けましょう。
例えば、ヘアオイルタイプは髪にツヤを出してくれますが、使用感はやや重めです。べたつきが気になる場合は、髪を軽やかにまとめるヘアミルクタイプがおすすめです。
いずれも、適量のトリートメントを手の平に取ったら両手全体に均等に広げ、髪の中間から毛先にかけてやさしくもみ込むようにつけていきましょう。最後に、目の粗いブラシで髪を梳かすと、ムラを防ぎやすくなります。
3.強い温風で根元から全体の8割まで乾かす
いよいよドライヤーを使って髪を乾かしていきます。最初は強い温風を使い、一番乾きにくい髪の根元を中心に乾かしましょう。前述のように、火傷やオーバードライを防ぐために、吹き出し口は頭皮から15cm程度離してください。
このとき、手ぐしで髪をかきあげながら乾かすと、温風が広い範囲にあたるため、短時間で乾きやすくなります。あらかた根元が乾いたら、髪の中間から毛先に向かってドライヤーの風をあてていきましょう。全体が8割程度乾いたら強風はやめてOKです。
4.弱い温風でセットしながら10割まで乾かす
続けて、弱い温風で10割まで乾かしていきます。この段階は髪を乾かすのが目的ではなく、髪の形を整えるのがメインです。例えば、髪をまっすぐにしたい場合は、軽く髪を引っ張るようにして弱い温風をあてると、曲がりやうねりが出にくくなります。
どんなスタイルに仕上げたいのかをイメージしながら、髪にクセをつけるようにドライヤーを動かしましょう。ただし、何度も繰り返しているように、温風をあてる方向は上から下に向かってのポイントは押さえておくのが重要です。
5.冷風をあてる
髪が全体的に乾いたら、冷風で冷やしていきます。髪につけたクセを固定し、ヘアスタイルを長時間キープしやすくさせることが目的です。また、最後に冷風をあてることでキューティクルが閉じ、髪にツヤが生まれやすくなります。
さらに、冷風に切り替えることで髪がきちんと乾いているか判断しやすくなります。この時点で乾きムラがある場合は、再び温風にして乾かしましょう。部分的に濡れたままだと、その部分だけ寝グセになったり、かゆみ・フケといった頭皮トラブルが起こったりすることがあります。
自然乾燥を選ぶ場合の注意点
時間がない・具合が悪い・ドライヤーが使えないなどの理由で、髪を自然乾燥せざるを得ないこともあるでしょう。その場合は、次のようなポイントを押さえて自然乾燥すると、通常よりもダメージのリスクを抑えられる可能性があります。
- ●タオルドライで少しでも余分な水分を取る
- ●専用の保湿剤で頭皮トラブルを防止する
- ●アウトバストリートメントで髪の水分を保つ
- ●乾いたらシルクのナイトキャップをつけて寝る
- ●目が粗いブラシで梳かす
ただし、上記の方法であっても完全にダメージを抑えられるわけではありません。そのため、普段から自然乾燥するのではなく、どうしてもドライヤーが使えないときの応急処置として覚えておくと良いでしょう。
タオルドライで少しでも余分な水分を取る
自然乾燥の最大の問題は、髪が乾くまでに時間がかかることです。長時間、髪が濡れたままだと「髪にクセがつく」「キューティクルが閉じない」「頭皮が蒸れる」といった問題があります。
これらのリスクを少しでも軽減するために、吸水性のよいタオルでできる限り髪と頭皮の水分をふき取りましょう。タオルドライのやり方は、前述の通り頭皮部分はタオルを押しあてるようにマッサージし、髪の部分はやさしく挟むようにして水分を吸い取ります。
専用の保湿剤で頭皮トラブルを防止する
もともと頭皮トラブルが起こりやすい場合などは、頭皮専用の保湿剤を使うのも選択肢の一つです。頭皮用の保湿剤は、頭皮に水分を与え、乾燥・かゆみを防ぐ役割があります。
特に、フケが出ている場合は頭皮が乾燥しているサインのため、保湿剤の使用がおすすめです。保湿剤をつけるときは、髪をかきわけながら地肌に塗布します。
指の腹でなじませるように軽くマッサージすると、頭皮の血行が促進されて健やかな頭皮環境を保ちやすくなるでしょう。
アウトバストリートメントで髪の水分を保つ
自然乾燥させるときも、アウトバストリートメントを使いましょう。トリートメント成分が髪表面を保護しながら、キューティクルの代わりに髪にフタをしてくれます。
なお、髪が硬い・太い人は乾燥しやすいことから、コーティング力の高いヘアオイルタイプがおすすめです。髪が細い・毛量が少ない人は、髪がパサつきやすいため、まとまりを出すのに長けたミルクタイプが向いているでしょう。
乾いたらシルクのナイトキャップをつけて寝る
髪が乾いたら、シルクのナイトキャップをつけて眠るのがおすすめです。シルクは摩擦が起きにくく、静電気を防ぐ働きもあるため、就寝中の枕との摩擦ダメージによるパサつきや枝毛・切れ毛を予防します。
さらに、保湿性と吸湿性に優れているので、夜の乾燥や頭皮のムレを防ぎ、自然乾燥で水分が不足しがちな髪をやさしく守ってくれるでしょう。
ただし、濡れたままの状態でかぶるとキャップ内が蒸れて雑菌が繁殖しやすく、頭皮トラブルの原因になります。そのため、ナイトキャップは自然乾燥であっても必ず髪と頭皮をしっかり乾かしてから使用しましょう。
目が粗いブラシで梳かす
髪を自然乾燥させるときは、目の粗いブラシで毛流れを整えましょう。濡れた髪は物理的な刺激に弱いため、目の細かいブラシを使うと、切れ毛や抜け毛につながる恐れがあります。
一方で、髪を全く梳かさずにいると、髪にクセがついたまま乾いてしまい、翌朝のスタイリングが大変です。目の粗いブラシで毛のからまりを解いておくことで、自然乾燥でも髪のスタイリングがしやすくなります。
まとめ
髪の自然乾燥には、キューティクルの傷み・頭皮トラブル・寝グセといったたくさんのデメリットがある一方、メリットはほぼありません。健やかな髪を保つためにも、洗髪後はドライヤーを使って素早く乾かしましょう。
特に、温風で根元からしっかり乾かし、最後に冷風で仕上げることで、キューティクルが整ってツヤのある美しい髪に近づけます。ドライヤー前のタオルドライやアウトバストリートメントを適切に取り入れることで、髪の熱ダメージも軽減できるでしょう。
髪のダメージをできるだけ抑えたい場合は、髪にやさしいドライヤーを使うのもおすすめです。
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