肩甲骨まわりの痛み
肩甲骨まわりが痛い原因は?
簡単にできるストレッチ・エクササイズも解説
肩甲骨は背中の上部にある逆三角形の骨で、この周辺に痛みが生じる原因は多岐にわたります。
血流や筋肉・関節の問題のほか、内臓の病気が関係していることもあります。
明確な疾患がない場合、ストレッチやトレーニングによって痛みを和らげられる可能性が高いです。
この記事では、肩甲骨まわりの痛みの主な原因と、自分でできる対処法を詳しくお伝えします。
1 肩甲骨まわりが痛いときの主な原因
肩甲骨の痛みを適切に対処するには、まず原因を把握することが重要です。ここからは、肩甲骨周辺に痛みが生じる原因について詳しく説明していきます。
肩こり
肩こりは肩甲骨周辺の痛みの原因の一つです。筋肉が緊張すると、血流が滞り、肩や肩甲骨周辺に痛みを感じることがあります。いわゆる「肩こり」の状態です。
2022年の国民生活基礎調査によると、自覚症状として肩こりを感じている人の割合は、男女ともに5割以上で、腰痛に次いで2番目に多い症状でした(1)。この結果からも、肩こりを自覚している人が非常に多いことがわかります。
肩こりの主な原因は以下のとおりです。
- 長時間のデスクワーク
- 姿勢の悪さ
- なで肩
- 精神的なストレス
- 冷房による冷え
- 片側だけで荷物を持つクセがある
これらの原因によって筋肉の緊張や疲労が生じ、肩甲骨まわりに痛みを感じることにつながります。
肩の筋肉や関節の病気
肩甲骨周辺の痛みは、肩の筋肉や関節の病気が原因のこともあります。ここでは、痛みを引き起こす主な病気を紹介します。
・ 肩関節周囲炎(五十肩)
肩関節周囲炎は五十肩とも呼ばれ、40〜60代に多く見られます。肩を上げている途中では痛みを感じませんが、ある高さ以上に上げようとすると痛みが生じるのが特徴です。
肩関節周囲炎で肩関節が痛むと、動かすのを避けがちになり、さらに肩の動きが悪くなってしまいます。似た病気もあるため、五十肩かもしれないと感じたら、自己判断せずに専門医の診察を受けましょう。
・ 肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)
肩腱板断裂は40代以上の男性に多く、利き手の肩に発生しやすい傾向があります。
腕を上げることはできますが、痛みで眠れなくなる人が多いのが特徴です。腕を上げる際に、関節がこすれるような音が聞こえることもあります。
・ 肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)
肩鎖関節脱臼は、肩鎖関節を支える靭帯や筋肉が損傷し、関節がずれることで生じる症状です。
ラグビーや柔道などのスポーツによる外傷や、転倒して肩を打ってしまったことがきっかけで、肩鎖関節脱臼を起こすことがあります。
・ 石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)
石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板にリン酸カルシウムが沈着して炎症を引き起こし、痛みが生じる病気です。
好発年齢は40〜50代で女性に多く、症状が進行すると激しい痛みや夜間の痛みに悩まされることがあります。
・ 胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
胸郭出口症候群は、腕を上げる動作をした際に、肩や肩甲骨まわりにしびれや痛みを感じる病気です。
なで肩の女性や重いものを運ぶ機会が多い方に多い傾向があります。
・ インピンジメント症候群
インピンジメント症候群は、明らかな損傷がないにもかかわらず肩に痛みが生じる状態を指します。肩関節を動かす際に骨や軟部組織などが擦れ合うことで痛みが生じると考えられています。
野球やバレーボールなどのスポーツ、または電気工事士や塗装工といった職業で、頭の上まで手を上げる動作を繰り返す場合に発症しやすい傾向です。
頸椎や内臓の病気
肩甲骨まわりの骨や靭帯に異常がなくても、頸椎や内臓の病気が原因で痛みが生じることもあります。
椎間板ヘルニアや狭心症、急性膵炎、肺がんなどの病気でも肩甲骨周辺に痛みを感じることがあります。痛みが続き、筋肉や関節に異常がない場合は、念のため内臓の検査も受けることをおすすめします。
2 肩甲骨の状態のセルフチェック法
肩甲骨を動かすと痛みがある場合は、自分で可動性をチェックしてみるのもおすすめです。
スポーツ庁では、可動性を自分でチェックできる動画を公開しています(2)。肩甲骨の状態を知るためにも、ぜひ試してみてください。
3 肩甲骨まわりが痛いときの対処法
肩甲骨まわりの痛みが筋肉の緊張や疲労によるものであれば、ストレッチやエクササイズで改善できる場合があります。
まず痛みの原因を確認し、痛みが和らいでから、次に紹介する対処法を試してみましょう。
ストレッチ
筋肉の緊張や疲労によって肩甲骨まわりに痛みが生じている場合(肩こり)は、肩や首のストレッチがおすすめです。ここでは、肩こりを和らげるストレッチをご紹介します。
■ 肩まわりのストレッチ
肩こりで肩甲骨まで痛みを感じる場合は、肩まわりのストレッチを取り入れてみましょう。筋肉の緊張がほぐれ、肩こりが軽減されます。ここでは手軽にできるストレッチを紹介します。
【ストレッチ1】
-
1.
両腕を上げ、右側の腕を背中側に折り曲げる
-
2.
左手で右ひじをつかみ、左側にゆっくりと引く
-
3.
反対側も同様に行う
【ストレッチ2】
-
1.
身体の前で右腕のひじを伸ばし、左側の腕で抱え込んで引く
-
2.
反対側も同様に行う
肩やひじを痛めないよう、ゆっくりとした動作で行うのがポイントです。ストレッチをした後は体が軽くなったと感じられるでしょう。仕事や家事の合間に行うのもおすすめです。
■ 首のストレッチ
首のストレッチも、筋肉の緊張や疲労による肩甲骨まわりの痛みを軽減できます。具体的なやり方を解説します。
【首のストレッチ1】
-
1.
両手で頭を支える
-
2.
前後にゆっくり動かして首を伸ばす
【首のストレッチ2】
-
1.
右手を頭に添えて、首をゆっくり右に倒す
-
2.
左側も同様に行う
無理にストレッチをすると首を痛めることがあるので、心地よく感じる範囲で行いましょう。
エクササイズ
筋肉の緊張や疲労が原因の肩甲骨まわりの痛みには、トレーニングやエクササイズも効果的です。ここでは、道具を使ったトレーニングやエクササイズを具体的に紹介します。
■ ゴムバンドを使ったトレーニング
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1.
ゴムバンドを柱や家具など、動かないものに固定する
-
2.
ゴムバンドを持った腕を後方に引く(10回)
-
3.
ゴムバンドを持った腕を身体の前で上げて引く(10回)
-
4.
この動作を無理のない範囲で繰り返す
■ 壁押しトレーニング
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1.
こぶしやひじ、前腕で壁を5秒間押す
-
2.
この動作を1セットとして、無理のない範囲で繰り返す
■ ウォールエンジェルスライダー(3)
-
1.
壁からこぶし一つ分離れて立つ
-
2.
壁に背中全体をつけ、両ひじを肩の高さで90度ほど曲げ、ひじと手首が壁につくようにする
-
3.
手の位置を変えずに、ひじ、手、背中が壁から離れない範囲で、ゆっくりと腰を下ろす
-
4.
手の位置を変えずに、ゆっくりと元の位置まで戻る
(3)参考:【肩甲骨の可動性へのアプローチ】自分の身体知っていますか?~室伏広治の動作改善エクササイズ~ Scapular mobility(elevation)|スポーツ庁
4 肩甲骨まわりの痛みが続くときは病院を受診しよう
前述したとおり、肩甲骨の痛みの原因はさまざまです。肩甲骨まわりの痛みが強かったり長く続いたりする場合は、念のため、病院受診をおすすめします。
検査の結果、異常がなければストレッチやトレーニングなどのセルフケアで対処しましょう。
5 肩甲骨の痛みに関するよくある質問
ここでは、肩甲骨の痛みに関するよくある質問について解説します。
肩甲骨が突然痛くなった場合の対処法は?
肩甲骨まわりに突然痛みを感じた場合は、まず専門医を受診して、身体に異常がないか確認しましょう。思い当たる原因がないのに痛みが生じた場合は、関節や筋肉、内臓疾患などの可能性も考えられるためです。
肩甲骨の左・右側だけ痛い場合の対処法は?
肩甲骨の左側または右側だけが痛む場合、五十肩や肩腱板断裂など肩甲骨周辺の疾患のほか、内臓疾患の可能性も考えられます。
自己判断はせず、専門医に相談しましょう。
6 肩甲骨まわりの不調はセルフケアで対処しよう
姿勢の悪さや血行不良が原因の肩甲骨の痛みは、セルフケアで対処できます。
まずは自分の肩甲骨の可動域を確認し、無理のない範囲で動かしてみましょう。痛みが続く場合は、セルフケアを中断して専門医に相談してください。
紹介したストレッチやトレーニングを習慣にすることで、筋肉の緊張がほぐれ、肩甲骨まわりの痛みが改善されるでしょう。ぜひ試してみてください。