コラム vol6

不調や悩みにつながる
「反り腰」の治し方を知りたい!

ぎっくり腰を繰り返さないために、毎日できる対策と予防 ぎっくり腰を繰り返さないために、毎日できる対策と予防

反り腰とは、文字通り腰が反った姿勢になっている状態を指します。上半身だけ見ると胸を張っているように見えるため、それほど悪い姿勢には見えませんが、実は身体のところどころに負担がかかっています。今、抱えている腰の違和感や不調の原因は、反り腰にあるかもしれません。反り腰とは何なのか…その原因を追究し、セルフチェック診断や対策などについてまとめました。反り腰に悩み、本気で治したい方のために、生活改善のポイントと筋トレやストレッチ法などもご紹介します。

反り腰とはどんな状態?

反り腰とは専門的な言葉で「骨盤前傾」といい、骨盤が前側へ倒れ骨盤にある骨の1つである坐骨(お尻の下の骨)が後ろに出っぱっていることを指します。本来、人の正しい姿勢はS字姿勢であり、骨盤がまっすぐに立ち、背骨がゆるやかなカーブを描いています。これに対して反り腰の状態は、骨盤が開いて前に傾くことにより背骨のあたりから反りかえってしまい、S字姿勢が崩れてしまうのです。

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S字カーブの重要性とは?

S字姿勢を維持した人の身体を横から見ると、緩やかなS字カーブを描いています。このS字カーブには重力を分散するという役割があり、重い頭を支える筋肉の負担を軽減するという重要な働きをします。余計な力がかかりこのカーブに歪みがでると、重力の分散がスムーズにいきません。そのため、下腹部のぽっこり感が目立つだけではなく、コリや疲れなど身体のあちこちに不調を感じることがあるので注意が必要です。

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反り腰になると、
いろいろな不調が現れる

画像診断では見えない痛みの原因 画像診断では見えない痛みの原因

反り腰になると腰の違和感からはじまり、むくみや歪み、コリなどさまざまな不調を抱えやすくなります。何となく感じるその辛い症状は、もしかして反り腰が原因かも…?
次は反り腰による身体の不調を詳しくご紹介。軽度の場合なら生活習慣の見直しや運動を取り入れることで改善できる可能性もあるので、同じ症状を持っていないかチェックしてみましょう。

  1. 慢性的な腰の悩みを持つ

    反り腰の状態では、腰が極端に反ってS字バランスが崩れているため、常に腰に大きな負担がかかっています。腰の違和感を放置すると、そこから派生する不調や病気が進行してしまう心配もあります。悪化すると手術を伴うこともあるので、早めに改善する必要が あります。

  2. むくみなどの症状が現れやすくなる

    反り腰によって骨盤の歪みが生じると、体内の巡りが滞りがちになり全身のむくみに繋がります。身体がむくむことで、冷えや疲れ、しびれといった症状を感じやすくなる場合もあります。

  3. お尻が突き出る

    反り腰は、腰が反っていることでお尻が突き出ている状態になります。重心のバランスがくずれてしまうため、S字カーブが緩やかな状態からきつくなり、ますます骨盤のゆがみが進んでしまうことになります。

  4. ぽっこりお腹になる

    反り腰になると、腰が反った状態になるため、お腹になかなか力が入らない姿勢になってしまいます。次第にお腹が出て、下腹部のぽっこり感が目立ってきます。腹筋を鍛えることにも消極的になると、反り腰はさらに悪化してしまいます。

  5. 肩こり・首こりを感じやすくなる

    反り腰でいると、腰や背中の筋肉はいつも緊張状態。筋肉を使い続けていることになり、肩や首などが硬くなってきます。すると身体への負担が蓄積され、肩こりや首こりなどの不調となってあらわれます。

反り腰の原因

画像診断では見えない痛みの原因 画像診断では見えない痛みの原因
  • 原因.1座り方が良くない

    デスクワークで座る時間が長い場合、反り腰に悩まされることが多くみられます。楽だからと猫背や姿勢をくずした状態で座り続けることは、骨盤の歪みを生み、腰への大きな負担になります。特にパソコンやスマホを使っている時は、前かがみの姿勢になりやすいので、注意が必要です。特に1日8時間以上座っている場合は、腰への負担はもちろん椎間板への負担も増えてしまいます。

  • 原因.2歩き方が良くない

    歩き方によって腰への負担は変わってきます。反り腰で重心が後ろにいきすぎていたり、前かがみになって姿勢がくずれたまま歩いていたりすると、腰を悪化させる心配があります。逆に、背筋を伸ばしたS字姿勢を意識して歩くと、自然に足を踏み出すことができ、重心移動もスムーズです。この時、かかとから着地することが大切です。つま先からだと前傾姿勢になり反り腰が進行してしまうこともあります。

  • 原因.3立ち方が良くない

    人は立っていると、寝ている時より数倍の負荷がかかるため、お腹や背中への負荷を軽くしようと立ち姿もくずれやすくなります。気づくと腰を突き出したような反り腰で立っていることはありませんか。お腹周りや太もも、背中などの筋肉が少ないと、頭を引き上げられたようなS字姿勢を保つのが難しくなります。また立ち仕事が多い方は、太ももやお尻の筋肉に疲労が溜り、腰を悪化しやすくしてしまいます。

  • 原因.4かかとの高い靴を長時間履く

    日常的にヒールなどかかとの高い靴を履いていると、全身のバランスをとろうと重心は偏り、腰が反った状態になります。ヒールの靴を履いていると常につま先立ちの状態になるため、身体の軸が前傾してしまいます。その姿勢が続くと、骨盤も前に出て背中の筋肉が鍛えられすぎて、余計に反り腰が進行する恐れがあるのです。

  • 原因.5運動不足による筋力低下

    良い姿勢を保つには、身体を支える筋力が必要です。運動習慣がなく身体を動かす機会が少ないと筋力の低下が進み、反り腰の原因になってしまいます。運動不足になると、背中や腰の後ろ、太ももの裏側など、身体の後ろ側にある筋力が弱まってしまうといわれています。また、年齢による体型の変化や筋肉の衰えによっても、身体を支える力が低下し、反り腰につながりやすくなります。筋力がなければどんなに姿勢を改善してもすぐ以前の状態に戻ってしまうため、定期的に筋トレをすることが不可欠です。

  • 原因.6筋肉の柔軟性低下

    反り腰は、腰まわりの筋肉の柔軟性が減るにつれ、進行してしまうことがあります。少しでも状態を良くするには、しなやかな筋肉を保てるよう鍛える必要があります。運動やストレッチなどを取り入れて、年齢による筋肉の柔軟性の低下を食い止めましょう。

  • 原因.7出産による反り腰の常態化

    妊娠中にお腹が大きくなってくると、身体の重心は前傾します。妊娠中に反り腰になるのは仕方のないことですが、出産後は身体のバランスを整えることを意識しないと、反り腰の状態が癖づいてしまいます。

反り腰 セルフチェック診断

以下の3つのチェック方法で1つでも当てはまるものがあれば、反り腰の疑いが考えられます。

  1. チェック.1床に仰向けに寝て、腰と床の間に握りこぶし1つ分ほどのすき間がある

    握りこぶし1つ分のすき間がある場合は、反り腰の可能性が高いと判断できます。手のひらが入るぐらいわずかなすき間しかない場合は、反り腰の可能性は低いといえるでしょう。

  2. チェック.2壁によりかかり、後頭部、肩、背中、お尻、かかとをつけて立ち、腰と壁の間に握りこぶしの状態の手を入れる。

    握りこぶし1つ分のすき間がある場合は、反り腰の可能性が高いと考えられます。手のひらがわずかなすき間しかない場合は、背骨や骨盤などが正しい位置に保たれていると判断できます。

  3. チェック.3仰向けで寝て、膝を伸ばした時に腰に違和感がある、膝を立てた時に腰が楽に感じる。

    仰向けの状態で、膝を伸ばして腰の違和感が大きくなるかチェックします。その後、膝を立てると腰が楽に感じる場合は、反り腰の可能性が高いといえるでしょう。その差が大きいほど、進行しているという見方ができます。

反り腰の対策

画像診断では見えない痛みの原因 画像診断では見えない痛みの原因

反り腰を改善するには、日常生活から意識をすることで大きく変わってきます。S字姿勢を保つには、腰に負担をかけない習慣を積み重ね、ストレッチや筋トレで筋力アップを図るのがおすすめです。また、ずっと同じ姿勢にならないよう、ときどき体勢を変える時間もつくるようにしましょう。

  1. 正しい座り方を意識する

    正しい座り方とは、立つときと同じように緩やかなS字カーブをキープした状態です。前かがみになったり、背もたれに深く腰掛けたりすると、S字カーブに歪みが生じやすくなります。骨盤を立てて、上から引っ張られているような状態をイメージし、自然に身体を支えるようにします。正しく座ることが不調の改善や緩和の鍵となります。いつも座っている椅子やサポートアイテムなども見直してみるのもおすすめです。

  2. 正しい立ち方を意識する

    背骨のS字カーブが保たれていることが、正しい立ち方につながります。具体的には、顎を引き、肩の力を抜き、お腹を引っ込め、お尻を締めることで重心がくるぶしの前ぐらいにくるように意識します。正しい立ち方を維持するには、ある程度の筋力が必要です。特に、加齢や運動不足を感じている人は筋トレを取り入れ、筋力アップを心がけましょう。腰に違和感がある、筋力の低下によって身体の軸のバランスが取りにくいといった場合は、腰全体をカバーするサポーターを活用するのもいいでしょう。

  3. なるべくヒールなどかかとの高い靴を履かない

    長時間ヒールを履くことは、つま先立ちの状態が続き、腰への負担となります。反り腰の症状がある場合は、ヒールなどは避けることをおすすめします。どうしてもヒールを履かなければいけない場合は、途中にラクな靴やスリッパなどで過ごす時間もはさみ、足や腰への負担を軽減しましょう。また、ヒールの中敷きにこだわったり、普段は5本指靴下を履いたり、地面をしっかりつかめるような状態を保ちましょう。足裏のバランスにこだわることで、S字姿勢を保ちやすくなります。

  4. ストレッチなどを取り入れる〈背骨に働きかける〉

    骨のゆがみや筋肉のこわばりなどがあると、姿勢にも影響を与えます。ストレッチで全身をゆるめ、背骨や骨盤を正しい位置に保てるようにしましょう。

    背骨に働きかけるストレッチ

    【足回しで身体をゆるめる】

    足回しで身体をゆるめる 足回しで身体をゆるめる

    【背骨を正しい位置へ戻す】

    背骨を正しい位置へ戻す 背骨を正しい位置へ戻す

    【お尻の筋肉、姿勢を正しく保つ】

    お尻の筋肉、姿勢を正しく保つ お尻の筋肉、姿勢を正しく保つ
  5. 凝り固まった筋肉をほぐし、強化する

    反り腰の改善を促すとされるストレッチとしておすすめなのが、腹式呼吸を行うドローイングと背骨の柔軟性を高めるキャットバックです。どちらも身体の軸や筋肉に働きかけます。

    【反り腰を緩和するドローイング】

    背骨を正しい位置へ戻す 背骨を正しい位置へ戻す

    【上半身の柔軟性を高めるキャットバック】

    背骨を正しい位置へ戻す 背骨を正しい位置へ戻す

    ・定番の筋トレメニューもプラス
    上記以外にも膝を立てて行う「腹筋運動」、両腕・両足のつま先で身体を支える「プランク」、ゆっくりと行うことで負荷をかける「スロースクワット」も、筋力アップに取り入れたい運動です。腰の調子をみながら、毎日少しでも続けるようにしてみましょう。特に、筋トレは1度にたくさん行うよりも少しでも長く続けるほど、効果があらわれやすくなります。

    背骨を正しい位置へ戻す 背骨を正しい位置へ戻す

まとめ

反り腰の不調が1週間以上続く場合は、我慢せず整形外科を受診することをおすすめします。投薬や注射などの治療によって、症状を緩和することも可能です。その他、整体やカイロプラクティックなどの民間療法もありますが、初めは病院で身体の状況をしっかり確認してもらった方がいいでしょう。
ただし、根本的な原因を取り除くには、立っている時、座っている時の姿勢を意識し、できる限りS字姿勢を維持することです。セルフケアで反り腰を改善する習慣を身に付け、反り腰から来る不調の根本的な改善を目指してみませんか。

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